各社が入金方法に苦慮するのは、交通系ICカードはチャージの手間と手段の確保というプリペイド方式の弱点から逃れられないからだ。
そこで、いつでもどこでもチャージ可能なモバイルサービスの普及に努めているが、原則としてクレジットカードが必要なので、カードに抵抗のある人やカードを作れない中学生・高校生には届きにくい。厳密にはカードを登録しなくても利用は可能だが、モバイル上でチャージできないためメリットを活かせない。
一方で、コード決済は中学生・高校生にも広がっている。MMD研究所が2025年7月に行った「高校生と高校生の子を持つ親のキャッシュレスに関する実態調査」では、15~18歳の高校生1114人を対象に、直近半年に利用した決済方法を聞いたところ、QRコード決済は50.8%に達したという。さらに、QRコード決済を利用する高校生300人の34.7%が送金機能を使ったことがあり、うち74.7%が家族間送金をしたと回答する。
いわば「お小遣いの電子化」であるが、その受け皿はプリペイド式の電子マネーではなくコード決済が担う結果となった。Wesmo!とteppayも個人間送金機能を持つが、そのままでは大手サービスから切り替える積極的な理由はない。
鉄道事業者としても、これ以上の決済額に対応できないICカードでは勝負にならないと分かっているので、今後はコード決済を主力に据えざるを得ない。そうなると大手サービスに対抗し得る差別化ポイントはICカードとの連携になる。
コード決済とICカードはそれぞれに長短があり、二者択一ではない。そして、親は通勤、子どもは通学で鉄道を利用し、ICカードを使っている。親のWesmo!残高を子どもに送金し、子どもが必要に応じてコード決済に、一部はICOCAにチャージして利用する流れができ、家族の「共通通貨」に選ばれれば、家族全員の移動と決済を囲い込めるというわけだ。







