大阪万博のラッピング車両Photo:PIXTA

JR西日本は4月30日、2030年を目標年次とする新たな中期経営計画を発表した。大阪・関西万博効果などで過去最高益を更新する一方、同社は今後5年間で総額2兆6200億円という過去最大級の投資を打ち出した。好業績のなか、なぜ巨額投資に踏み切るのか。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

過去最高益となった昨年度決算
最大の要因は大阪・関西万博

 JR西日本が新たな中期経営計画とあわせて発表した2025年度決算では、連結営業収益が対前年約1378億円増(同8.1%増)の約1兆8458億円、連結営業利益は同約179億円増(同9.9%増)の約1980億円、純利益は同約135億円増(同11.9%増)の約1274億円だった。

図1中期経営計画2030を元に作成 拡大画像表示

 営業収益は5期連続の対前年増収増益で、営業利益は2019年度の約1969億円を上回る過去最高益となった。本稿の本題は次期中計だが、今決算から今後の課題と方向性が見えてくるので、まずは決算を振り返ってみたい。

 好決算の最大要因が大阪・関西万博だ。運輸収入で約211億円の増収を見込んでおり、物販・飲食業(流通セグメント)も前年比で約252億円となった増収の多くが万博効果とみられる。もうひとつはインバウンドだ。運輸収入、グループ会社の収入は約823億円で、同約100億円の増収となった(うち約14億円が万博関連)。

 この他、不動産セグメントは営業収益が同約530億円増(同23%増)、営業利益が同約74億円増(同19%増)の同約463億円で大幅な増収増益だった。ショッピングセンター(SC)業は2025年3月に開業したうめきたグリーンプレイス、広島駅新駅ビル「minamoa」の開業効果、ホテル業は万博、インバウンド効果が後押しした。

 2026年度業績予想は、連結営業収益が対2025年度約168億円減(同0.9%減)の約1兆8290億円、連結営業利益は同約330億円減(同16.7%減)の約1650億円、純利益は同約274億円減(同21.6%減)の約1000億円としている。

 減収予想の主要因は万博効果が大きかったモビリティ業、流通業の反動減だ。もっとも、減少幅は0.9%であり、利用動向次第では予想を上回る可能性は十分ある。問題は減益である。対前年の費用増は、人件費・外注労賃の上昇、委託・材料単価の増加で210億円、原油・石炭単価上昇で85億円と見込んでおり、インフレと中東情勢が押し上げる格好だ。また、中東情勢がインバウンド・国内消費に与える影響を45億円の減収と見ており、あわせて営業利益を340億円引き下げる計算だ。

 同社は中計2025にて「鉄道の活性化によるコロナ前水準への到達」と「ライフデザイン分野の拡大と最適な事業ポートフォリオ構築」を掲げていた。運輸収入は2018年度実績8734億円、2025年度目標9050億円に対して実績9479億円で大きく上回った。

 キャッシュを稼ぐ力(EBITDA)、経営効率(ROA、ROE)、財務規律(Net Debt/EBITDA=純有利子負債/利払い前・税引き前・減価償却前利益)などの財務KPIも目標を達成した。唯一、未達に終わったのはライフデザイン分野の営業利益割合で、2018年度実績20%、2025年度目標25%に対して実績22%だった。

図2
中期経営計画2030を元に作成 拡大画像表示