そのうちに、先生から親が呼び出しをくらいます。
親は「グレーゾーンと言われたのに、なぜ?」という思いを抱きながら担任の話を聞き、家に帰って子どもを叱ります。
子どもは学校でも家でも怒られることが続きます――こうなると、負のスパイラルのはじまりです。時間が経つにつれて、授業にもついていけなくなり、ますます面白くなくなり、学校に行くことの意味がわからなくなってしまいます。
疑わしいと思ったら
まずは療育を受ける
幼少期のおすすめの方法は、疑わしいと思ったら、まずは療育を受けておくことだと私は思っています。
その子の3歳や4歳という時期は、そのときにしかありません。8歳になってから、やっぱりあのときに受けておけばよかった、となっても後の祭りです。療育を受けておけば、たとえ多くの時間を費やしたとしても、無駄というわけではありません。その後、症状が薄らぎ、あとに何の問題もなくなったとなったら、国のお金で療育というお稽古に通わせてもらった、と思ってください。
もしグレーゾーンと言われたら、医師に「診断がつかないのであれば、親である私は困っているので、いったん意見書を書いてください」と伝えて、市区町村が児童発達支援事業所などのサービス利用のために出している、「障害福祉サービス受給者証」を得るための意見書を書いてもらってください(注1)。
ただしここで、保護者の方の心が一気に曇ることがあります。そうです、「障害」という言葉です。
この「障害福祉サービス受給者証」の話をすると必ず聞かれるのが、「うちの子、障害があるのですか?」という質問です。
親からすると、「かわいいわが子に障害というレッテルを貼られたくない。そんなもの(受給者証)をもらうくらいなら受けなくてもいい」と言って断る親御さんも多いのが実情です。
より早い時期に学べば学ぶほど
子どもの社会性が増していく
しかし私は、保育園のときに指摘を受けたにもかかわらず、「障害者と呼ばれたくない、と祖父母が言っている」「親戚に何と言えばいいかわからない」と、子どもには何のメリットもない理由で断ってくるよりも、その子の貴重な2~6歳という、脳の神経線維が加速度的に伸びていくこの時期にこそ、ぜひ良質の療育やリハビリテーションを受けていただきたいと願っています。
子どもの身体は、使えば使うほど器用になり、運動発達も促せます。言葉も同じこと。また、社会性にも同じことがいえます。より早い時期に学べば学ぶほど、子どもの社会性が増していくのです。
『3000人の発達障害の子を診察してきた医師が教える ASD(自閉スペクトラム症)・グレーゾーンの子どもをありのまま育てる方法』(星野 歩、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
「障害福祉サービス」という名前にとらわれず、「うちの子の個性ですけど。まあ、いいか」と思い直して、ぜひ療育を受けてみてください。それで文句を言ってくる遠い親戚やめったに家に来ない人に遠慮して療育を受けさせないのは、本当にもったいない機会損失だと思います。
(注1)…児童発達支援事業や障害児リハビリテーションという制度は、国が9割負担をして通わせられる集団療育や個別指導のサービスです。何らかの困り感がある、発達に偏りがある、遅れがあるというお子さんが対象となります。小学校入学までは児童発達支援事業、小学校入学から高校卒業までは放課後等デイサービスという療育の機会が設けられています。病院やクリニックが行っている障害児リハビリテーションや脳血管リハビリテーションは、医療機関が医療保険を使って行うものになるため、診断名が必要となります。しかし、障害福祉サービスの利用は、診断名ではなく、困りごとがあるという医師の意見書だけで通る市区町村がほとんどです。そのため、まだ診断がつかないという方は、この障害福祉サービスをまずはご利用ください。なお、こちらも国の福祉制度の一環であり、そのサービス名が「障害福祉サービス」といわれるものです。







