世界から優秀な人材をいかに採用するかが一方の課題なら、他方には、彼らを採用後に中期的に定着させ戦力として活用する仕組みの構築という難題があります。即効性のある4つの施策とともに、新卒・第2新卒の採用時から「日本流グローバル人事制度」の導入を勧めます。

外国人の定着率は、5%から100%まで企業によって「明・暗」

 世界にいる2億人を対象として、採用に動くべきだ−−−前回申し上げたポイントに異論のある企業は少ないと思います。しかし、次に課題となるのが、そうして採用した優秀な外国人をいかに定着させ、戦力として活用できるかでしょう。

 弊社では、のべ数百社の外国人採用に携わってきましたが、入社後3年で、定着率5%という会社から100%の会社まで、大きく数字に開きがあります。企業によって明暗がはっきり分かれているということです。就職支援した外国人社員側からも直接ヒアリングを行っていると(実際のところ、彼ら自身が自社の人事部に直接話しづらいことを相談しにやってくるケースが多い)、その定着率の明暗をわけるポイントはいくつかに絞られます。

【弊社ヒアリングで外国人社員から聞かれる代表的な声】
・つまらない仕事しか与えられない
・評価基準が不透明で、まともな説明もない
・外国人である自分はいろいろな面で不利である
・本音で相談できる相手がいない
・どうすればマネージャーになれるか、まったく分からない

 最大の問題は日本の人事システムにあります。終身雇用が前提の日本企業で、入社後数年間が下積み期間として費やされてしまうこと、そして自分の専門性が重視されないことに、嫌気がさしてしまうのです。

 海外では、新卒で最初に勤めた会社への平均勤続年数は3年以下と言われます。日本で就職しようとする外国人は、さすがにもう少し長く日本で働こうという人が多いのですが、それでも弊社調査によれば5年~10年をひと区切りと考えている学生が大多数です。つまり、入社後の2年間の成果や手応えに対して、日本人よりずっと重きを置いているのです。数式に表せば、「40年分の2(日本人)<3年分の2(外国人)」というわけです。