筆者も、新卒で入社したソニーの新人研修として鹿児島の工場で1ヵ月間、単純作業に従事しましたが、毎日が修学旅行のようで楽しかったのをよく覚えています。しかし、その研修が何のためにあるのか、ほとんど説明を受けた記憶はありません。それでもよかったのです。一生勤めるつもりでいた身としては、20代を企業の“兵隊”としてマネージメントや経営とは無縁の世界で過ごすことに何の疑問もありませんでした。

 外国人はそういうわけにいきません。彼らには「新卒でも2年間でそれなりの結果を出さなければ将来的に上にはいけない」という認識があり、「結果」を出しにくい部署への配属や、業務の割り当てになかなか納得しません。実力主義のグローバルスタンダードでは、新卒採用は中途採用と同じく職種別採用が基本であり、学生時代に専攻・研究した内容を活かして最初から働くことが常識となっています(逆に言えば、企業側は専攻内容が一致しない学生をほとんど採用しません)。 

外国人の定着につながる短期的な4つの施策

 かといって、日本企業で、「年功序列型⇒実力主義型」「ポテンシャル採用⇒職種別採用」への完全移行をすぐに実施するのは難しいでしょう。外国人社員のモチベーションを保ち、中長期で定着させるにはどうすればいいのか。企業サイド、外国人社員サイド双方の意見や情報を弊社で分析した結果、「短期的」な視点で効果を出すには次の4つの施策が有効だと考えられます。このうち、1)以外は特別な負荷なくすぐにでも導入できるはずなので、早速検討してみてください。

外国人社員のモチベーション維持、定着に向けた短期的施策
1)専門性やキャリアプランを重視した配属
  海外では職種別採用が最も一般的
2「下積み」の先にある「キャリアの夢」を徹底して語る
  いわゆる日本的下積みが、何のために存在するのかを伝える
3 外国人対応に慣れた特別メンターの配備
 自身を少数派と思い込み孤立するのを防ぐために
  本音で相談や質問、意見ができる体制の構築
4 評価基準の透明化
 矛盾点含め、上記メンターが説明責任を持つ