「また転職したい」「やりたいことが次々と変わる」。そんな自分を見て、「結局、自分には軸がないのではないか」と悩む人は少なくありません。しかし、『世界の果てのカフェ』は、「やりたいことは一つに決めるべき」という思い込みをやさしく覆してくれます。「何度読んでもハッとする」と話題の一冊から、相談者に響いた名言について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「『転職ばかりで、自分でも何がしたいのかわかりません』。人生に効く名言・ベスト1Photo: Adobe Stock

転職ばかりで何がしたいのか

 最近、こんな相談があった

「45歳です。営業、企画、人事と仕事を変えてきました。副業も始めましたが、長続きしません。周りからは『やりたいことがコロコロ変わる人だ』と言われます。本当は一つのことを続けたほうがいいのでしょうか?」

 相談者は、自分のことを「飽きっぽい人間」だと思っていた。
 何かを始めても、数年すると別のことに興味が移る。
 だから、「自分にはやりたいことなんてないのかもしれない」と考えていた。

 私はその話を聞いて、『世界の果てのカフェ』という本の一節を思い出した。

「やりたいこと」は一つでなくてもいい

 多くの人は、「本当にやりたいことは一つだけある」と思っている。
 だから、転職を繰り返したり、新しいことに興味を持ったりすると、「自分はブレている」と不安になる。

 しかし、本当にそうなのだろうか。

世界の果てのカフェ』には、こんな言葉がある。

「ここにいる理由を知っているとき、その人は存在理由を特定したことになる。人は人生の中で、存在理由を満たすために、やりたいことを10個、20個、あるいは何百個も見つけるかもしれない。
実際、最高に満たされているお客様は、自分の存在理由を知っているだけじゃない。それを満たすのに役立つと信じるあらゆる活動に挑戦しているわ」
――『世界の果てのカフェ』より

 この一節を読んだとき、私は肩の力が抜けた。
 そうか、「やりたいこと」は一つでなくてもいいのだ

変わっているのは仕事ではなく、手段

 例えば、「人の成長を支えたい」という人がいたとする。

 営業という仕事でも、お客様の挑戦を応援できる。
 人事なら社員の成長を支えられる。
 企画なら新しい価値を届けられる。
 副業で情報発信をすることも、その延長線上にあるかもしれない。

 一見するとバラバラに見える仕事でも、その奥には一つの共通した価値観が流れていることがある

 つまり、変わっているのは「やりたいこと」ではない。
 存在理由を実現するための手段なのである
 そう考えると、転職を繰り返してきたことにも、新しい意味が見えてくる。

「軸」は過去ではなく、共通点の中にある

 相談者に私はこう伝えた。

「転職歴ではなく、『どの仕事でも共通して楽しかった瞬間』を探してみてください」

 人を喜ばせたとき。
 難しい課題を解決したとき。
 誰かに感謝されたとき。
 新しいものを生み出したとき。

 そこには、仕事が変わっても変わらない「自分らしさ」が隠れている

世界の果てのカフェ』が教えてくれるのは、「一つの仕事に人生を縛られる必要はない」ということだ。

 存在理由が一つ見つかれば、それを実現する方法は10個でも、20個でも、100個でもいい。
 だから、「やりたいことが変わる自分」を責める必要はない

 本当に見るべきなのは、変わり続ける仕事ではなく、その奥でずっと変わらずに流れている、自分だけの「人生の軸」なのである。

(本稿は、『世界の果てのカフェ』の発売を記念したオリジナル記事です)