説明が上手な人は、言葉をたくさん並べる人ではありません。まず相手に「全体像」を見せる人です。『言語化だけじゃ伝わんない』では、その代表例として「間取り図」が紹介されています。なぜ図があるだけで理解しやすくなるのでしょうか。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

説明する前に「やること」とは?
「どう説明すれば伝わるんだろう?」
そう悩んだ経験はありませんか。
多くの人は、伝わらない理由を「説明が足りないから」だと思っています。
だから言葉を増やそうとします。
しかし、『言語化だけじゃ伝わんない』では、まず必要なのは「言葉を増やすこと」ではなく、「全体図を見せること」だと語られています。
「言葉だけ」の説明は想像以上に難しい
本書では、不動産の間取り図を例に、こんな話が紹介されています。
物件の「間取り図」の例で考えてみたいと思います。
間取り図は、物件探しをするときの判断の基準になるものです。
不動産サイトを見ているとごくまれに、間取り図がなく、言葉だけの情報しか掲載されていないことがあります。
「1LDK、エアコン付き、風呂トイレ別」
というように言葉で説明が載っているだけ。
どんな部屋なのかは、説明文から推測しなければいけません。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
「1LDK」と聞いても、人によって思い浮かべる部屋は違います。
リビングの位置も、寝室の広さも、玄関の向きもわかりません。
つまり、言葉だけでは全体像が見えないのです。
人は「位置関係」がわかると理解できる
本書では続いて、こう説明しています。
だからこそ、言葉は物事を手短に伝えることができます。
でも、まとめてしまうせいで、具体的な空間を説明するには不便です。
「1LDK」という言葉に当てはまる部屋はたくさんあるからです。
具体的にどんな部屋なのかをさらに詳しく説明すると、たとえばこうなります。
「玄関から向かって左にトイレ、風呂、キッチンがあり、右側にリビングがあります」
こういう文章に読みにくさを感じる人は多いのではないでしょうか。
その理由は、読み手は全体像を知らないからです。
ひとつひとつの要素が増えるたびに、全体像を更新していかないといけない。
だからストレスがかかるのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
文章は一列にしか読めません。
そのため、読む人は頭の中で何度も部屋を組み立て直さなければなりません。
しかし、最初に間取り図が1枚あればどうでしょう。
「トイレはここ」「リビングはここ」と、文章が自然に頭へ入ってきます。
説明が理解しやすいのは、言葉が優れているからではありません。
位置関係が見えているからなのです。
頭のいい人は「地図」を先につくる
本書では最後に、このようにまとめています。
かといって、長い説明も読みにくい。
実際に見に行って、はじめて部屋の位置関係を把握することができます。
もし現地に行かないのであれば、「玄関から向かって左に何がある」という長々とした説明を把握していないと、その部屋の間取りを描くことはできません。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
この考え方は、仕事の説明にもそのまま当てはまります。
新しいプロジェクトを説明するときも、いきなり細かな話から始めるのではなく、「全体の流れ」を図で示す。
会議でも、「今日決めること」「現在地」「ゴール」を最初に共有する。
企画書でも、まず全体像を見せてから詳細へ入る。
頭のいい人は、説明を始める前に、相手が迷わないための「地図」を用意しています。
言葉だけで理解してもらおうとは考えません。
間取り図のように、全体図を先に示し、その上で細かな説明を積み重ねていく。
それこそが、相手にストレスを与えず、スムーズに伝わる説明のコツなのです。
(本記事は、書籍『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』を元にしたオリジナル記事です。)
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。








