私の友人がゲームから離れたのは、ポーカーが「解決された」からだった。すっかり最適化されてしまい、そのせいで退屈になってしまったのだ。
『最適化幻想 効率が人を幸せにしない理由』(ココ・クルム著、松本剛史訳、新潮社)
それでも彼女はときおりトーナメントに出没し、生のプレイの興奮を楽しんでいる。2018年のWSOPでは、最後の土壇場まで、ネルがそのラウンドを制して勝ち進むかに見えた。だがそこでネルに配られたのは、どうしようもなく悪い手だった。ネルがブラフをかける。テーブルの向こうのプレイヤーがコールする。それで一巻の終わり。
ラスベガスでいちばん静かな月は12月だ。ネルは帰っていった。大きなトーナメントも会議も下火になった。プロたちが1人また1人と去っていき、あとには必死のギャンブラーたちが、所在なげな家族連れや独身者が、2人連れか独りぼっちのお婆さんたちが海の底に残される。水の向こうでスロットマシンがブーンと唸り音をたて、クラップス(編集部注/2個のサイコロを振って出目を競うゲーム)やブラックジャックのテーブルが浮き上がっては沈んでいく。
(注1)Spencer Murray and Jennifer Pascoe, “Deepstack AI for Poker/Skill Trumps Luck: DeepStack the First Computer Program to Outplay Human Professionals at Heads-Up No-Limit Texas Hold’em Poker,” March 2, 2017, www.amii.ca/updates-insights/media-release-deepstack-ai.







