物価対応料とは異なり、導入するかどうかは医療機関の裁量に任されているが、国は医療従事者の賃上げを強く後押ししている。ベースアップ評価料によって賃上げができれば、人手不足の解消を期待できるため、これまで算定していなかった病院や診療所にも広がっていく可能性が高い。

 例えば、今年度から外来・在宅ベースアップ評価料を導入した診療所では、初診料には170円、再診料には40円が加算される。同じ診療所を来年6月以降に利用した場合は、初診料に400円、再診料に100円が加算される。

診療所を初めて受診のケース
3割負担で60円の負担増

 では、患者負担はどれくらい増えるのだろうか。今年から外来・在宅ベースアップ評価料を導入した診療所を、初めて受診したケースで考えてみよう。

 まずかかるのが外来・在宅物価対応料の20円。加えて、外来・在宅ベースアップ評価料は初診時に170円加算されるため、医療費はこれまでよりも190円増える。患者が支払う窓口負担額は年齢や所得に応じて異なり、1割負担で20円、2割負担で40円、3割負担で60円が加算される(医療費の自己負担額は、10円未満四捨五入)。

 2つの診療報酬による患者の負担増は、いずれも数十円だ。だが、物価高騰で苦しい思いをしているのは一般家庭も同じだ。今回の診療報酬の引き上げを医療の提供体制を守るために必要な費用と捉えるか、はたまた厳しい負担増と捉えるかは意見の分かれるところだろう。

 今回の改定では、他にも再診料や入院時の食事療養費・光熱水道費なども引き上げられている。また、選定療養の枠組みで行われている予約診療のキャンセル料(診察日の直前にキャンセルした場合のみ)、診察予約やオンライン診療を受けるためのシステム利用料、Wi-Fiの利用料など、これまで認められていなかった保険外の費用の徴収も、6月1日から認められるようになった。