本当に望ましい実質賃金の上昇は、労働生産性の上昇によってもたらされるべきだ。それはどのようにして実現されるだろうか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA
4月の実質賃金は前年2.0%増
価格転嫁・値上げ広がる見通し
6月24日に発表された4月の毎月勤労統計調査(確報)によると、2026年4月の実質賃金(事業所規模5人以上)は、持ち家の帰属家賃を除く総合で実質化したベースで、2.0%増となった。対前年同月比プラスは、今年の1月から4カ月続いている(図表1)。
しかも企業が、業績好転の際に増額することが多いボーナス支給時期ではない期間での増加だ。
最近の実質賃金増加のほとんどは、政府のガソリン補助策などで消費者物価の上昇が抑えられている面はあるが、その効果を差し引いて計算しても、4月の実質賃金の上昇率は、0.92%だ。1%に近い上昇率であり、無視できないとも言える。
日本の実質賃金は1990年代の中頃から、傾向的に下落を続けてきた。ごく最近まで続いていたこの傾向が、この数カ月間、逆転しているように見える。これまでの実質賃金の流れに対する見方を、変える必要があるかもしれない。
ただし、理論的に検討すると、実質賃金上昇には、資本装備率や全要素生産性(TFP、技術水準)が上昇することが必要だ。これらの指数は変わってはいない。実質賃金を継続的に上昇させる条件は、まだ整えられていないとも考えられる。
一方で、原油価格高止まりや円安などによる輸入コスト上昇の価格転嫁による値上げで、消費者物価上昇率が再び、強まることも予想されている。
日本の実質賃金が、これまでの下落傾向から脱却して、本当に上昇過程に入ったのかどうか。







