たとえば、会社でこんな経験があったとします。
「この仕事、正直めんどくさいな。意味あるのかな」と悩みながらも資料をつくり、「とりあえずこれでいいや」と思いきって、会議に出た。
すると、誰からも何も言われなくて、モヤモヤした。
相談者のTさんも、こんな話をしてくれました。
「毎回のプロジェクト会議のために、すべての業務の進捗を細かく資料にしていました。ルールだったので。
でも先週、動きが大きいものだけに絞ったら、何も言われなかったんです。結構考えたり悩んだりしながら資料をつくったのに、あのときの時間はなんだったんですかね」
こういうこと、「仕方がない」と見逃しているかもしれませんが、実は思った以上に私たちのエネルギーを消費していきます。
大事なことなので繰り返しになりますが、「当たり前」や「悩み」には、私たちが思っているほどのエネルギーを注ぐ価値がない場合があります。
そこで、「Whyの言葉づかい」です。
使うタイミングは悩み始める前で、「この悩み、エネルギー使う必要ある?」と自問して、あなたを悩ませるほどの価値があるのか、悩むことでいいことがあるのかを確かめます。
悩むという行為は、思っている以上に思考や感情のリソースを奪います。
意識していなくても、頭の中に入り込み、集中力や気力を消耗させていきます。
だからこそ、とくにルーティンになっているような業務では悩みそうになったら、Whyで「ちょっと待った!」と立ち止まってみてください。
ただ、すべての悩みがそれで消えるわけではありません。
すべての悩みを
解決しようとしなくていい
しつこく残る悩みには、「Whatの言葉づかい」で応戦します。
ここでは、悩みを一方向から見続けないことがポイントです。
ルービックキューブのように、右から、左から、上から、下からと眺めてみる。
ひとつの面だけをじっと見つめていたら、永遠に解けないパズルのように感じてしまう。距離が取れない悩みこそ、まず形を確かめる。
たとえば、「自分がなんとかできるのか」という視点だけで悩みを眺めていると、「できない自分」ばかりが浮き彫りになります。
でも「原因はどこか」「そもそも誰の課題か」と角度を変えると、驚くほど軽くなります。
悩みを“自分の中だけで完結させない”ために、「Whatの言葉づかい」は欠かせません。悩みに支配されなくていいのです。
最後にようやく、「Howの言葉づかい」の出番です。
WhyとWhatをくぐり抜けた「悩むに値し、自分が関われるもの」だけが、「どうするか」を考える対象になります。Howは、選ばれた悩みにだけ使えばいいのです。
『70%で働く 「もっと頑張る」から脱出する働き方の思考法』(佐野創太、日経BP)
つまり、「解決してやろうか」と、悩みをさばく側になる。
悩みを「上から」眺める。このスタンスがちょうどよく心を守ってくれます。
Howは、選ばれた悩みにだけ使う。
これが、悩みに飲み込まれずに働くための大切な線引きです。
すべての悩みにHowを使うと、感情も思考もすぐに100%稼働になります。
「悩みを選抜すること」は、悩みを軽く扱うことでも、切り捨てることでもありません。どの悩みにエネルギーを使うかを選ぶ立場に立つことです。
悩みは、無理に消さなくてもいいですが、飲み込まれる必要もありません。







