「なんだか最近、いつもと違う…」その違和感、ただの疲れではなく「心の限界」を知らせるSOSかもしれません。精神科において、心の問題は「脳の機能低下」を意味します。放置すれば取り返しのつかない事態になることも。手遅れになる前に気づいてほしい、日常に潜む危険なサインとは? 自分を守るための重要な指標をお伝えします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・斎藤順)
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。

【精神科医Tomyが教える】 放置すると危ない心の限界サイン・ワースト4Photo: Adobe Stock

「心の限界」とは「脳の機能低下」である

今日は、「心が限界を迎えている時のサイン」についてお話ししたいと思います。このような症状が出始めたら、心は限界を迎えており、場合によっては精神科を受診したほうがよいかもしれないという指標についてです。

まず前提として、「心」というものを定義する必要があります。一般的には漠然と使われる言葉ですが、私たち精神科医が扱う「心の問題」とは、すなわち「脳の機能の問題」を指します。

精神科では、脳梗塞や炎症など、目に見える器質的な原因による脳の障害は扱いません。パッと見たところ異常はないものの、何らかの原因で脳の機能が一時的に低下していたり、バランスが崩れたりしている状態を治療するのが精神科の役割です。

つまり、「脳の機能が普段と違う状態になっていること」=「心が限界を迎えている状態」として解釈し、それがどのような形で現れるのかをご説明していきます。

限界のサイン①:いつもできていることができなくなる

分かりやすいサインの一つ目は、「普段できていることができなくなる」ことです。

私たちは普段、考えたり、喋ったり、聞いたり、さまざまな行動をとっていますが、脳の機能に異常が起きると、これらがいつも通りにできなくなります。例えば、「人の話を聞いていても頭に入ってこない」「普段なら絶対にやらないような些細なミスを連発する」「喋らなければいけないのに、言葉が出てこない」といったことが起こります。

少し疲れている時にも頭が回らないことはありますが、こうした「普段の行動や処理ができなくなる」のは、心がダメージを受けている証拠です。

限界のサイン②:最も危険なSOS「睡眠の異常」

いくつかあるサインの中でも、最も重要視すべきなのが「睡眠」です。睡眠の機能に異常が出て数日続くようであれば、精神科の受診をおすすめします。

なぜ睡眠がそれほど重要なのかをご説明しましょう。私たちは本来、毎日の活動で蓄積された脳のダメージや疲れを回復させるために眠ります。ですから、疲れていればいるほどすぐに眠くなり、たくさん寝たくなるのが健康的な状態です。

ところが、脳の機能が低下しすぎてしまうと、「疲れているのに眠れない」という現象が起きます。すぐにでも寝たいのに寝付きが悪くなる「入眠困難」もその一つですが、脳のダメージを最も如実に物語っているのは「睡眠の維持」ができないことです。

健康な状態であれば、疲れている時は深く眠り込み、目覚ましが鳴るギリギリまで寝ていたり、時には気づかずに寝坊してしまったりするものです。しかし、脳に大きなダメージがある状態だと、何度も途中で目が覚めてしまいます。本当はもっと長く寝て疲れをとるべきなのに、朝の3時や4時といったおかしな時間に目が覚め、そこから全く寝付けなくなってしまうのです。

睡眠は脳を回復させるための機能ですから、ここが障害されると事態はどんどん悪化してしまいます。ピンチ度が最も高いサインと言えます。