米ハイテク株に頼らずS&P500を凌駕!「8人の頭脳」が仕掛ける独自の運用戦略

米国株のアクティブ型投資信託が、S&P500指数に継続して勝つのは極めて難しい。直近5年で見ても、指数を上回ったファンドはごくわずか。

そんなインデックス優位の時代に、「ダイヤモンド・ザイ NISA投信グランプリ2026」の米国株部門で最優秀賞を受賞したのが、「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカ(ICA)」(キャピタル・インターナショナル)だ。米キャピタル・グループが長年運用してきた伝統あるファンドで、「下がりにくさ」や「成績の安定度」でも高く評価された。

キャピタル・インターナショナルの雨宮弘明さんに、その運用の特徴と、独自の仕組みについて聞いた。(須賀彩子、ダイヤモンド・ザイ編集部)

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世界大恐慌の時代から続く
「成長+配当」の投資哲学

――米国株に投資するアクティブ型投資信託の多くが、S&P500指数になかなか勝てません。その中で好成績を上げていますが、どのような運用が特徴なのでしょうか。

キャピタル・インターナショナル取締役の雨宮弘明(あめみや・ひろあき)さん雨宮弘明(あめみや・ひろあき)さん●キャピタル・インターナショナル取締役、インベストメント・ディレクター。第一生命保険で外国株のファンドマネジャー、国内株のポートフォリオ・マネジャーを務めた後、ウエリントン・マネージメントでインベストメント・ディレクターに従事。その後、キャピタル・グループに入社。運用業界での経験年数は31年、同社在籍年数は11年。慶應義塾大学商学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト。東京オフィス在籍。

雨宮 このファンドの運用戦略は、1930年代の世界大恐慌のさなかに始まりました。当時は、投資ブームの反動で多くの個人投資家が資産を失いました。その教訓から、企業のファンダメンタルズ(財務の健全性や収益力など)を徹底的に見極め、慎重に銘柄を選ぶことを運用の軸にしています。その象徴が、「成長」と「配当」の両方に着目する方針です。

―― 一般的な高配当株投資とは、何が違うのでしょうか。

雨宮 配当利回りの高さだけで銘柄を選んでいるわけではありません。過去のデータを見ても、配当利回りだけが高い銘柄群の成績は必ずしも良くありません。バリュエーション(企業価値評価)が低い企業には、業績不振など、株価が低迷する相応の理由があることも多いからです。

 私たちは配当利回りに加え、利益成長に裏打ちされた「配当の成長性」を重視しています。長期的な利益成長による株価上昇と配当継続の両方から、成長する企業を見極めることを目指しています。

――近年の米国株は、配当株よりもグロース株の強さが際立っています。

雨宮 確かに2010年代以降の米国株市場では、AIやハイテク株が相場を牽引してきました。しかし、長期で見ると、米国株のトータルリターンのうち約3割を配当が占めています。1960~70年代の調整局面や、2000年代前半のITバブル崩壊後など、株価が大きく崩れる場面では、配当がクッションの役割を果たしました。配当を重視する姿勢が、下落局面での「下がりにくさ」と、成績の安定につながっています。

1人の天才に頼らない、
8人体制での運用

――特徴的なのが、8人のポートフォリオ・マネジャーによる運用体制です。珍しい仕組みですね。

雨宮 一般的な投資信託では、1人のファンドマネジャーが中心となって意思決定を行います。しかし私たちは、1人のスタープレイヤーに依存しない体制を整えています。ファンドの資金を分け、8人のポートフォリオ・マネジャーが、それぞれの担当部分を独立して運用しています。

 さらに、約100人のアナリストも、ファンドの資金を実際に動かしてポジションを持ちます。企業を分析してレポートを書くだけではなく、実際に投資し、結果を出すことまで求められるのです。

――8人がそれぞれ運用して、ファンド全体の統制は取れるのでしょうか。

雨宮 全体のバランスを見て、必要に応じてポジションを調整するチームリーダー(ICAでは現在はマーティン・ロモ氏)はいます。ただし、マネジャーが共通して重視しているのは、「S&P500を上回る配当利回りを維持すること」です。マクロ経済をどう見るか、どのセクターに投資するか、何銘柄を保有するかは、各自の裁量に委ねられています。

 チーム内には、長期の成長を重視するグロース株派もいれば、配当を重視するバリュー株派もいます。異なる視点を持つプロが同時に運用することで、特定の手法や分野に偏らない多様性が生まれます。