『風、薫る』第75回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第75回(2026年7月10日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)
直美がりんに看護婦をやめろと忠告
「りん、看護婦やめな」。直美(上坂樹里)がりん(見上愛)に戦力外通告。
「りんの事情は患者さんには関係ない。外科看護婦取締りとして、いまのりんには、看護婦として働いてもらうわけにはいきません」
この直美の厳しい発言のあとのりんの返しが独特。
「私はクビってこと?」
直美は「私にそんな力はない」と言う。そのとおりで。ここで「クビ」を使うなら、「あなたに私をクビにする権限はない」であろう。まあ、おかしなことを言ってしまうのはそれだけショックだったからと考えることもできる。山本さん(本田大輔)の件で参ってしまっているし。
「りんもずっと苦しいでしょ。やめていいよ、看護婦」と直美は言い方を変えつつ畳み掛ける。
そこに悲しい劇伴がかかって――。
「それじゃ、それじゃ生きていけない。誰より直美さんが知ってるでしょ。私が働かなきゃ、環(英茉)も母上(水野美紀)も生きていけない」。りんはそう言うと部屋を出ていってしまう。
わかる。りんが困っているのはわかる。でも、この一連の会話が映像を10秒飛ばしで見ているような印象なのだ。
その違和感は、残されたトメ(原嶋凛)と多江(生田絵梨花)の会話で少しだけ解消する。
「あんなふうに言わなくても」とトメ。ふたりきりで話すとか、ほかにも伝え方があるだろうと言う。それに対して「あんなふうに言わなきゃ、りんさん辞められない。りんさんだよ」と多江。
「りんさんだよ」とはどういう意味か。打たれ強すぎて(鈍いとも言う)かなりきつく言わないと真意が伝わらないということだろうか。多江のりん評が、りんはちょっと風変わりな人物であることを教えてくれる。







