
プラチナの輝き、坂東彌十郎とは
直美に戦力外通告されたりんは看護服を着がえないまま、外をさまようように歩いている。いつもの団子屋の前を通り、チュウに声をかけられるが素通り。通行人がみんなりんに注目している。やばい人だと思っていると思う。
りんが瑞穂屋まで来ると、ちょうど、環は美津と帰るところ。ふたりに声をかけず、りんは卯三郎(坂東彌十郎)の元へと向かう。
「お願いします。働かせてください。なんでもやります」と頭を下げるが、「私が当てがえることができる仕事は、環ちゃんを女学校へやれるほどの給金を支払えるものではありません。それでも構わないのですか?」と卯三郎は冷たい。
「なんで、今度はダメなんですか?」と文(内田慈)が訝しげな顔をするが、「私も慈善事業ではありませんからねぇ」
卯三郎がりんに優しかったのは最初だけだった。1回はチャンスを与えるが、リターンがなければ、それ以上は温情を見せない主義か。まあたぶん何か考えがあるのだろうけれど。
それはそうと、卯三郎を演じている坂東彌十郎が、7月5日に2026年プラチナワード賞を受賞した。プラチナワードって何だ?
一般社団法人プラチナエイジ振興協会主催の賞で、公式サイトによると『プラチナエイジとは、60歳以上の方々を「老人」や「シニア」と呼ぶのではなく、“永遠に輝き続ける世代”として捉えた名称です』とある。それでベストプラチナエイジスト、プラチナワードなどの賞を年に1回選出している。
高齢者をシルバーと呼ばずゴールドと呼ぼうという考え方もある。だがゴールドだとギラギラした印象もある。それより落ち着いた輝きのプラチナという呼び方は悪くない。
人生100年時代、60代は全然晩年ではない。今年70歳になった坂東彌十郎も60代でさらに多忙になった。今期は『風、薫る』『夫婦別姓刑事』(フジテレビ系)『銀河の一票』(カンテレ制作 フジテレビ系)と1週間に3回も彼が出るドラマがあったほどだ。撮影時期はずれていたかもしれないが3作掛け持ちはなかなかない。
歌舞伎界で活躍していた坂東彌十郎が全国区で認知度を上げたのは大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(22年)だった。主人公の北条義時(小栗旬)の父親役で注目された。そのときすでに60代。
以後、歌舞伎以外で映像出演がぐっと増えた。筆者がおすすめなのは、夜ドラ『VR おじさんの初恋』(24年)のVRの世界では美少女のアバターで満喫している老人役。本人が美少女の扮装をするわけではないが美少女アバターに違和感がなくなる、不思議なチャーミングさがあった。
坂東彌十郎にはどんな役にも品格やユーモアやかわいげがある。こういう60代を目指したいものである。
さて、りんがぼんやり帰宅すると、捨松が来ていた。
直美に頼まれてりんに職を紹介しに来たのだ。たぶん直美に頼まれて巌の名を使って職をみつけたのであろう。
「りんさんの状況を聞いて、心配していたところ、ちょうど舎監を探しているという知人の話があったので、機を逃すまいと急ぎ訪ねたのです」
「機を逃すまいと急ぎ訪ねたのです」。なぜか急に昔ぽい言い回し。
次週、りんに新展開、ありそうだ。








