エグゼクティブは「元を取る」とは言わない!?

 まずは自分のお酒の適量を知ることです。

 特にフライトでは地上の環境と大きく違うことがあります。それが気圧です。機内の気圧は、高度1万メートルの巡航中には地上の気圧に比べて約0.8気圧まで低下します。これは富士山の5合目くらいの高度とほぼ同じ気圧です。

 このため、地上でお酒を飲むときより酔いが回るのが早いと言われています。機内では飲み過ぎでなくても、貧血を起こし立ち上がった瞬間に倒れてしまう方も少なくありません。

 それを知るエグゼクティブはお酒が強いと自負している方でも、いつもより控えめに飲まれる方が多いのです。自分のお酒の適量を考え、回りやすいという環境を前提に自分を律することはスマートなお酒のたしなみ方です。

 そして、エグゼクティブには元を取るという思考がありません。

 国際線のフライトでは、基本的にお酒は無料です。お好きなお酒をお好きなだけお飲みいただけるのですが、ラインアップのワインを全て試そうとするお客様がいらっしゃいます。

 私がチーフパーサーとしてファーストクラスを担当していたときにも、「ワインリストにあるワイン全て試したいから、順番に並べて持ってきて」と言われたことがあります。

 お客様に楽しんでいただけるのであれば、喜んでお持ちするのですが、「あと日本酒と焼酎も全部持ってきて。元を取らなきゃね」とおっしゃって、ちょっとがっかりしたことがあります。

 元を取るという発想は気持ち的には理解できないこともないのですが、あからさまに表現されると残念さが残ってしまいます。

 また、お酒に「飲まれない」ことも重要です。機内でもお酒を飲むと声が大きくなったり、言葉が乱れたり、態度がひょう変する人がいらっしゃいます。本人は自覚がないのかもしれませんが、周りは不快に思うものです。

 多少の羽目外しはご愛嬌ですが、度を超えた言動はエグゼクティブとしてはご法度です。