「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』で、「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。
そんな木下氏が考える「仕事ができない人が必ず忘れている鉄則」とは? ライターの照宮氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

仕事ができない人が必ず忘れている鉄則・ワースト1Photo: Adobe Stock

何も疑わずに同じ人に依頼

以前、知人の会社を手伝っていたとき、カメラマンを手配してほしいと頼まれた。
前任者からカメラマンの連絡先と、だいたいの金額は聞いていたので、そのまま連絡を取り依頼した。

当日の撮影は滞りなく終わった。
ところが後日届いた請求書を見ると、駐車場代などの費用が上乗せされ、想定していた金額より高かった。
前任者に確認すると、請求のたびに費用が増えていく人だったと言われた。
それを最初に教えてほしかったが、そもそも自分でも条件を詰めていなかったのも悪かった。

仕事ができない人が必ず忘れている鉄則とは?

ベストセラーを連発する木下勝寿氏は著書『地頭スイッチ』の中でこう述べている。

「同じ効果が得られるなら、よりコストの低い手法を選ぶ」
これは「採算」を考えるうえでの鉄則です。
世の中には、より安価な代替案があるのに高額ツールを使い続けたり、自分でやれば一瞬で終わる作業を漫然と外注したりしているケースが散見されます。

――『地頭スイッチ』より

あのとき私は、前任者が依頼していたという事実だけで動き、他の選択肢を検討することも、条件を確認することも、まったくしていなかった。
試しに別のカメラマンを探してみると、金額は安く、仕上がりも遜色なかった。

仕事において前例に従うこと自体は悪くない。
問題は、前例があると比べるという発想が最初から生まれないことだ。
確認しないまま動いているから、損をしていることにも気づけない。

選択肢を広げるきっかけをくれる

「採算」という視点は、忙しい中においては抜け落ちやすい。
うまくいっているように見えるから、見直す理由が生まれない。
だからこそ、定期的に立ち止まって確認する習慣が必要なのだと思う。そのきっかけを、本書は与えてくれる。
考え方だけでなく、日々の判断の質まで変わっていきそうだった。