紫外線がもたらす変化とは

秋の抜け毛は夏の紫外線ダメージが「3ヶ月後の法則」で現れるとお伝えしました。

では、もう一歩踏み込んで、紫外線が頭皮で具体的にどんな変化を引き起こしているのかをお話しします。

紫外線が頭皮で起こす、3つの変化

地表に届く紫外線には「UV-A」と「UV-B」の2種類があり、それぞれ頭皮への影響が異なります。

1つめは、頭皮の乾燥と環境の悪化。

主にUV-Bが、肌の表面に炎症を起こし、頭皮を乾燥させます。乾燥した頭皮は、皮脂と常在菌のバランスが崩れ、健やかな髪が育ちにくい環境になっていきます。

2つめは、細胞の老化。

UV-Aはエネルギーが強く、雲や窓ガラスも通過します。曇りの日も、室内でも、窓際なら降り注いでいる。そして肌の角質層だけでなく奥深くまで到達し、細胞にダメージを与えます。

3つめが、皮脂の酸化。

実は、これが秋の抜け毛と最も深く関わっていると、私は現場で感じてきました。

秋の抜け毛に関わる「過酸化脂質」とは

皮脂そのものは、本来とても大切なもの。頭皮を保護し、適度な潤いを保つ役割があります。
ところが皮脂は、分泌されてから時間が経つにつれて酸化が始まります。

そして紫外線を浴びると、その酸化が一気に加速する。酸化が進んだ皮脂は「過酸化脂質」と呼ばれる、いわば古い天ぷら油のような状態に変質してしまうのです。

この過酸化した脂が毛穴にこびりつくと、頭皮環境を悪化させ、健やかな髪が育ちにくい状態につながる可能性があると考えられています。

近年の研究でも、頭皮の酸化ストレスが毛髪の成長周期(ヘアサイクル)に影響を及ぼす可能性が指摘されています。これが、数ヶ月後の抜け毛として現れてくる――というのが、私が現場で長く実感してきた流れです。

特に、頭頂部や分け目のように紫外線を直接浴びる場所は、過酸化した脂が溜まりやすい。

秋になって、その部分の地肌が透けて見えるように感じたり、髪のボリュームが落ちたように感じたりするのは、決して偶然ではないのです。

初夏もまた、過酸化脂質が増える季節

そしてもう一つ、いまお伝えしておきたいことがあります。
紫外線だけでなく、初夏から夏にかけての湿気もまた、過酸化脂質の生成を促進する要因になります。

湿度が高い時期は、皮脂が頭皮にこもりやすく、酸化が促進される。だから、この季節、頭皮の臭いが気になる方が一気に増えるのです。

梅雨の頭皮の臭いと、秋の抜け毛は、過酸化脂質という同じ犯人がつくっている――。これが、私が長年現場で見てきた結論です。

本記事の医事監修:コッツフォード 良枝

銀座プラタナクリニック院長
抗加齢学会専門医
麻酔科認定医

山梨大学医学部卒業後、国際医療センター国府台病院にて初期研修を修了。
その後、日本医科大学麻酔科に入局し臨床に従事。
美容クリニック勤務を経て、一般皮膚科・美容皮膚科領域での診療に従事し、院長職も歴任。
現在はオーソモレキュラー医学(分子栄養学)など、内側からの健康と美を追求する医療を積極的に行っている。