薄毛、白髪、フケ、かゆみ…。髪の悩みは、ときに人生を変えてしまいます。誰かに相談するのも勇気がいり、巷にたくさんある育毛法は、どれが効果的なのかわからない…となりがちです。『髪が増える術 成功率95%のプロが教えるすごいメソッド』(ダイヤモンド社刊)では、これまで5千人の髪や頭皮の状態を改善してきた髪のプロが、「カラダの内側から髪を元気にする」メソッドをすべて紹介しています。本記事では、著者である辻敦哉氏に髪にまつわる噂について聞きました。

【プロが解説!】体温と育毛の驚くべき関係Photo: Adobe Stock

体温は育毛に欠かせないピース

──辻さんの著書『髪が増える術』で、体温は育毛に欠かせないピースだとありますが、なぜでしょうか?

辻敦哉(以下、辻):体温と免疫力の相関性については、今では周知の事実だと思います。低体温はがん細胞が喜ぶなどといった表現もあるくらいです。

 適切な体温を保つのは、その免疫機能を正常に保つことを意味しています。そして、髪だけではなく、体毛のすべては、免疫機能によって生えています。

 まゆ毛は、頭部から流れ落ちる汗を目に入れないために生えており、頭部から流れ落ちる汗が目に入らないように、眉頭は上に、眉山までは横に、眉尻からは斜め下に向かって生えているのが、その証拠です。

 産毛に関しても肌を守るためにあります。たとえば、顔を剃り過ぎると産毛が濃くなると聞いたことがある方も多いと思いますが、シェービングにはピーリングといって、古い角質を人為的に剥がす効果があり、ターンオーバーの周期(およそ28日周期)で行えば美容効果も高いですが、シェービングをし過ぎてしまうと古い角質が無い状態で外部からの刺激を与えてしまうため、肌を守るために産毛が濃くなると言われています。

 他にも、

まつ毛は、目にゴミが入らないために
耳毛は、耳にゴミが入らないために
鼻毛は、鼻に埃が入らないために
わき毛は、脇にあるリンパや摩擦からの保護、フェロモンを出すために
いん毛は、摩擦や外部からの菌から守ったり、フェロモンを出すために
髪の毛は、紫外線や急所である頭部への衝撃から守るためにあります。

 すべて、免疫力と関係がありますね。

 しかしながら、髪や体毛は生命活動といった視点で考えれば、生き死ににはまったく関係がないですし、西洋医学、東洋医学共に、切っても痛くないという意味では、髪や体毛、死んだ細胞といった位置づけで、爪も同じです。

 そのため、体温が適切に保たれない健康状態が続けば、生命活動で重要な部位へ優先して栄養は運ばれ、生き死にには関係のない髪や爪は後回しになります。

 大病を患った方や闘病中の方の髪や爪が一時的に脆くなってしまうのも、同じ原因だと私は考えています。

──では、体温が高い人はどうなりますか?

辻:高血圧や心臓を患いやすい人は体温が高い傾向があります。私の経験では、そのような人は天頂部の熱が溜まりやすく、つむじや天頂部が乾燥し、薄くなる場合もあります。

──逆に、低い人は?

辻:健康的な髪や爪を作り出すことは、生命活動で重要な部位にしっかりと栄養が行き、且つ、末端部位にまで栄養が運ばれることを意味するので、体温が低く、貧血気味の場合、優先順位が低い部位には栄養が運ばれづらく、健康な髪が作りづらくなります。

 私は、5千人以上の方の髪を増やすお手伝いをするなかで、「体温と育毛には関係があるのではないか?」と考え、カラダの外側からのケア以外に、カラダの内側のケアを提案するようになりました。そうすると、育毛効果がぐんとアップしたのです。

──では、体温が高い人はカラダの内側からのケアとしてどんな対策をするべきですか?

辻:カラダの熱を冷ます食材を積極的にとり、精製塩や脂っこい食事を控えることを意識し、天頂部の熱を抜くため、頭部のツボを押したり、血液を足元へと循環させるため、竹踏みなどをセットに行うと効果的です。

──反対に体温が低い人はどんな対策をするべきですか?

辻:体温を高める食生活や、天然生地の重ね履き靴下を取り入れてみてください。拙著『髪が増える術』では、体質別のおすすめ食材をご紹介しているので、そちらもぜひご参考にしていただければと思います。

『髪が増える術』著者:辻敦哉(つじ・あつや)

1979年、埼玉県浦和市生まれ。埼玉県理容美容専門学校卒業、東京文化美容専門学校卒業、ロンドンTONI&GUYアカデミー修了。2006年リヴォーン株式会社入社。シブヤ西武「THE REV-OWN」店長、営業推進部長を務め、ヘッドスパのゴッドハンドとして業界を賑わす。その後独立し、2011年にヘッドスパ専門店「PULA(プーラ)」をオープン。あっという間に半年以上予約がとれないほどに。著書累計12万部を超え海外でも出版。現在は、プーラ式ヘッドスパ専門として全国展開しており、神奈川、埼玉、栃木、愛知、大阪、神戸に展開中。2022年6月、東京都立川周辺に出店予定(https://www.spa-pula.com/

本記事の医事監修:泉さくら(いずみ・さくら)

日本皮膚科学会皮膚科専門医。
琉球大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院皮膚科・都内美容皮膚科・形成外科勤務後、ココメディカルクリニックを開業。一般皮膚科、美容皮膚科、アレルギー外来、女性外来を行い、漢方薬などを用いた近代西洋医療と補完代替医療、伝統医学等を組み合わせて行う統合医療を積極的に取り入れている。