夏休みの予定は決まりましたか? 今、世界から注目を集める日本の地方のガストロノミーを巡る旅はいかがでしょうか? 話題の書『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著)から、抜粋・再編集し、今回は北海道の注目エリアや店を紹介していきます。
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余市はいまや、日本のワインの聖地
「余市といえばウイスキー」、そう認識している方は多いと思います。ニッカウヰスキー余市蒸留所があり、連続テレビ小説「マッサン」でも注目されました。ところが近年、余市は急速にワインの聖地として姿を変え始めています。
そこには大きく2つの要因がありました。
1つ目の要因は、温暖化です。山梨周辺ではなく、今や北海道がワインの生産地に適した場所だといわれるようになっているのです。
これに紐づいて生じたのが、2つ目の要因です。
余市の敏腕町長、齊藤啓輔さんが「ワインで町おこしをしよう」と考えたのです。もともと外務省に就職し、地方創生人材支援制度で余市の近くの天塩町副町長となり、任期後余市の町長になったという変わり種です。
町おこし計画が持ち上がった当時、すでに余市でもワインが造られていましたが、ぶどう品種の大半は寒さに強いことが主眼で選ばれていました。しかし、齊藤町長はマーケティング的に、世界品種のぶどうを作らないと勝てないと考えました。そこで、シャルドネやピノ・ノワールなど、欧米のメジャーな品種を作った人に補助金を出すことにしたのです。すると、こうした取り組みに賛同した若い人たちが余市に移ってくるようになり、いいワインがどんどん造られるようになっていきました。
「ノーマ」のワインリストに余市のワインが
齊藤町長が敏腕である理由は、プロモーションが見事だったことにもあります。
彼は「余市=いいワインがある町」というアピールをするために、先述のデンマークの名店「ノーマ」へ乗り込んでいきました。「ドメーヌ・タカヒコ」という、余市が誇る一級品を持って、その魅力を自ら売り込んだのです。その結果、「これは素晴らしいワインだ」ということで、日本ワインで唯一、ノーマのワインリストに載ることができました。こうなれば、しめたもの。世界最高峰の店からお墨付きを与えられたのですから。
さらに、齊藤町長はまだまだ動きます。2025年2月には、ワイン好きなら知らない人はいないブルゴーニュの赤ワインの聖地、ジュヴレ・シャンベルタン村と親善都市協定を締結するという快挙を達成しました。
これにより、余市のワインの価値はさらに上がり、町おこしに貢献しています。
実際、毎年秋に行われる余市のイベント「余市ラフェト」は、ドメーヌ・タカヒコが飲める貴重な機会ということで、事前申込制のチケットが数分で完売するほどの人気ぶりです。このイベントは、農園やワイナリーを巡りながら、お試しワインを味わえたり、チーズ、ホタテなど地元食材がそろうフードブースでワインとの相性を自由に楽しめたりするなど、ワイン好きにはたまらないイベントです。
また、余市の選りすぐりのワインが手に入るふるさと納税も人気があります。
このように、アイデアマンの町長によって、余市は今や、ワインの聖地として進化しているのです。
本書では余市に行ったらぜひ立ち寄りたい注目店も紹介しています。
※本記事は、『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著・ダイヤモンド社刊)より、抜粋・編集したものです。この記事の情報は、本書の発売時のものになります。






