世界の富裕層たちが日本を訪れる最大の目的になっている「美食」。彼らが次に向かうのは、大都市ではなく「地方」だ。いま、土地の文化と食材が融合した“ローカルガストロノミー”が、世界から熱視線を集めている。話題の書『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著)から、抜粋・再編集し、日本におけるガストロノミーツーリズム最前線を解説。いま注目されているお店やエリアを紹介していきます。
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ポテンシャルが高い千葉の美食
関東で最もガストロノミーツーリズムに力を入れているのは千葉県かもしれません。
というのは、2023年から県が主導して「ちばガストロノミーAWARD」を始めたからです。これは、「千葉を世界に誇れるガストロノミー県に!」をスローガンに、地域とつながり、千葉の食の魅力を最大限に表現している飲食店と生産者を発掘する取り組みです。私自身は、審査員を務めている方々と交流がないため、詳細な審査基準などは存じ上げないのですが、県が一丸となってガストロノミーを盛り上げていこうとしているのは間違いないでしょう。
実際、千葉は農業、漁業、畜産といった一次産業が多様に存在しているうえ、都心からのアクセスも良好。今後は、都市近郊型のガストロノミーの新天地として、埼玉や神奈川とともにますます力を発揮していくことでしょう。
そんな千葉の多様性を象徴する店が、木更津市にある「perus(ペルース)」です。農園、牧場、ダイニング、ベーカリー、アート作品、図書館などを有する「クルックフィールズ」という施設の中にあるレストランで、30ヘクタールを誇る敷地内には、ほかにもチーズやシャルキュトリの工房などが点在。2022年秋には宿泊棟もオープンしました。ペルースは、そこに宿泊する人たちがディナーを楽しむために作られた、わずか8席のカウンターレストラン(宿泊者以外を対象にしたプランもあり)です。
シェフの山名新貴(よしき)さんが使用する食材は、魚介類と調味料、アルコールドリンク以外は、ほぼすべてクルックフィールズの敷地内で採れたり、育てたりしたもの。パスタの場合だと、場内で収穫した小麦粉で作り、そこに、その日の朝産んだばかりの卵を使い、添える野菜も場内のものが使われています。
その土地の恵みを、環境とともに存分に味わえるペルースは、ガストロノミーツーリズムを手軽に体験できる貴重なレストランだと言えるでしょう。
市を挙げて「サンセバスチャン化計画」を進めているのがいすみ市です。いすみ米やイセエビなどをテコにしてガストロノミーツーリズムを盛り立てようというもの。2023年にオープンしたリゾートホテル「五氣里(いつきり)」内に併設された「餐(さん)」では地元出身の女性シェフが腕をふるっています。
※本記事は、『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著・ダイヤモンド社刊)より、抜粋・編集したものです。この記事の情報は、本書の発売時のものになります。






