普段なら流せる一言に
イライラするのはなぜか
放課後、塾の自習室や家で勉強しているとき、ふとした拍子に「もう、無理!」と投げ出したくなることはありませんか。普段なら気にならない、隣の席の人がめくるプリントの音。外を通る車のエンジン音。あるいは、お母さんからの「宿題やってるの?」という何気ない一言。そうした小さな刺激に対して、心の中で「うるさいなあ!」と爆発しそうになったり、急に涙が出そうになったりする。
実はこれも、気持ちの問題ではなく、「意志のバッテリーがかなり消耗しているサイン」です。心理学でいう自己制御の力は勉強を続けるためにも使われますが、日常生活で感情を抑える際にも使われます。
日中、学校で嫌なことがあっても愛想笑いをしたり、先生の長い話を聞き流したり、本当は言いたい一言をグッと飲み込んだり……。そうやって感情をコントロールするたびに、あなたの意志のバッテリーは少しずつ消耗していきます。
夜、イライラして勉強に集中できないのは、あなたが短気だからではありません。昼間のうちに「感情を抑えること」にエネルギーを使い、夜にはもう余力が残っていないからなのです。バッテリーがほとんど残っていないスマホで重たいアプリを動かそうとすれば、動作が遅くなるのと同じです。
『「がんばれない」心で何が起きているか』(外山美樹、筑摩書房)
テスト期間中に無性に甘いものが食べたくなるのも、同じ仕組みで説明できます。
「食べたい」という欲求を抑えるには、意志の力が必要です。しかし、意志の力を使い切ってしまうと、脳はブレーキをかける余裕がなくなり、本能的な欲求が表面化しやすくなるのです。
大切なのは、「欲求を抑えられない自分」を責めないことです。
「今、自分はかなり疲れているな」
「これは意志のバッテリーが消耗しているサインだな」
このようなかたちで、自分の状態を読み取れるようになると、無駄に自分を責めずにすむので、覚えておくとよいでしょう。







