下記のグラフを見てほしい。伊香賀氏らが実際のオフィスで実験を行ったところ、「作業効率と空調用電力消費量」のちょうどいいバランスは25.7℃であることがわかった。
夏のオフィスの温熱環境と知的生産性
出所:多和田友美、伊香賀俊治、村上周三、内田匠子、上田悠:オフィスの温熱環境が作業効率及び電力消費量に与える総合的な影響、日本建築学会環境系論文集第75巻第648号、2010年2月 拡大画像表示
25.7℃を28℃に上げると
人件費は月3000万円の損失に
「ですからオフィスの冷房は26℃に設定するといいでしょう」と伊香賀氏が言う。
これに付随してユニークな試算がある。室温を最も作業効率のいい25.7℃から「28℃」に上げると、空調用エネルギー費(光熱費)は1万㎡のオフィスであれば月額34万円の節約になるものの、作業効率の低下によって社員の人件費は月額3000万円の損失になるという。
実際に兵庫県姫路市役所では2019年7月16日から8月30日にかけて、環境省が呼びかける28℃よりも低い25℃に設定する実証実験を行っている。その結果、光熱費は約7万円増加した。対して残業時間が前年に比べて1人当たり月平均2.9時間減少し、全体で約4000万円の人件費削減につながったという。
伊香賀氏が行った実験結果とそれほどズレていない結果が現場でも証明されているのだ。
しかも姫路市役所では実証実験を行った際、「業務効率が向上した」と感じた職員が85%に上ったと発表されている。勤務後の疲労感についても「かなり軽減された」「少し軽減された」は合計83%、就業意欲の高まりを実感した人も83%いた。
「経済価値で言うと2桁違うのです。経営者は26℃から28℃に上げると100倍損をするということです」







