中国・ロシアの爆撃機“東京急行”や海軍艦艇周回、日本周辺の共同訓練で進む「力による現状変更」の既成事実化Photo: Contributor/gettyimages

中ロ、北朝鮮の日本周辺での軍事的脅威
高市「台湾有事答弁」以降、急速に増大

 8月に発刊された令和8年版防衛白書の巻頭言で小泉進次郎防衛相は、日本の安全保障環境について、「戦後最も厳しく複雑なものとなっており、東アジアでも、戦後の安定した国際秩序の根幹を揺るがしかねない深刻な事態が発生する可能性が排除できない」と強調している。

 それは中国や北朝鮮の軍事力の増強や、中国とロシア、ロシアと北朝鮮の連携強化などの動きだけではない。筆者が注目するのは、東京から数百キロの日本の周辺空海域で、日本を取り囲むように共同訓練などを繰り返していることだ。

 直近でも、今年7月に中国海軍艦3隻とロシア海軍艦1隻が常時連携して沖ノ鳥島近傍のEEZ(排他的経済水域)内での射撃訓練をしたのをはじめ、6月末には、中国とロシアの爆撃機が共同飛行で東京まで600キロにまで接近した。その飛行コースはそのまま直進すれば東京上空に至る飛行だった。

 これは冷戦期に、旧ソ連機が頻繁に接近し、威嚇飛行をした「東京急行」をほうふつさせるもので、共同飛行は、昨年12月に、中国空母「遼寧」が日本近海で発着艦訓練をした際にも同じ空海域で行われた。

 こうした活動は、防衛省が公表しているものの、国民が直接、中ロの艦艇や軍用機を目にすることがないことから、その恐怖感を実感することはない。

 だが日本を取り囲む軍事活動の活発化は、日本を直接に意識した行動であり、軍事予算の増額とともに、日本の安全保障には大きな脅威といえる。

 高市早苗首相の台湾有事「存立危機事態」答弁を機にした中国の「威圧」行動というだけにとどまらず、平時やグレーゾーン事態を通じて、力による一方的な現状変更を既成事実化し、さらに変更後の状態を日本に日常と思わせる「新しい常態」を作るとともに、有事の際も念頭に置いた連携の動きと捉える必要がある。