Germany’s firewall:
ドイツの防火壁

極右排除のための政治協定、AfDの州議会選圧勝で風前のともしび

 極右(far-right)を排除するために築かれた「ドイツの防火壁(Germany’s firewall)」が今にも倒壊しそうだ。

 豊かな自然とデザイン学校「バウハウス」で知られるドイツ中北部ザクセンアンハルト州。9月6日に州議会選挙が実施され、「ナチスが想起される」とも指摘される極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が圧勝した。

 AfDの得票率は44%に達し、5年前の選挙時と比べて2倍以上に上昇した一方で、これまで政権を担ってきた保守政党、キリスト教民主同盟(CDU)の得票率は17%へ半減。これによって極右政権が州レベルで初めて誕生する可能性が出てきた。

 防火壁が機能不全に陥りかねないということである。

 ドイツ語で「Brandmauer」と表記される防火壁。もともとの防火壁が火災の燃え広がりを防止するための物理的壁だとすれば、政治的な防火壁は極右勢力の「燃え広がり」を阻止するための政治協定である。

 具体的には、CDUをはじめ主要政党は非公式協定を結び、極右政党との連立や閣外協力を一切拒否する姿勢を貫いてきた。過去にナチスの台頭を許し、民主主義を破壊したという反省からである。AfDはドイツ連邦憲法擁護庁から「右翼過激派(right-wing extremist)」との認定を受けている。

 ザクセンアンハルト州では防火壁は風前のともしびだ。州議会83議席のうち39議席がAfDであり、絶対過半数(absolute majority)まであと3議席。主要政党が防火壁の堅持でまとまっていても、小政党が別行動を取ればAfDに政権奪取のチャンスが回ってくる。