紅海不安定化でWTIは再び100ドル超へ急騰!米・イラン交渉決裂なら「原油一段高」のリスクPhoto:PIXTA

中東情勢の緊迫化を背景に、米国産原油WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は再び1バレル=100ドルを突破した。7月末以降、米・イランの和平期待から急落する局面があった一方、軍事衝突や船舶・石油施設への攻撃で供給不安が再燃した。原油相場を揺さぶった材料を振り返り、今後の価格を左右するポイントを検証する。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)

和平期待でWTIは急落も一転反発
米・イランの攻撃再開で供給不安

 中東情勢は、再び一段の悪化が懸念される状況にみえ、米国産原油のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は1バレル当たり100ドルを上回って推移している。

 WTIが90ドル台から下落し始めた7月下旬からの相場動向を振り返る。7月24日は、米国とイランとの和平協議の再開に向けて、中国が働きかけを始めたとの関係者の話が報じられて、原油売りの材料となった。それまでの相場上昇で利益確定売りが出やすかったこともあり、WTIは3.1%安だった。

 27日は、米・イランが2週間にわたる攻撃の応酬を停止したことで、戦闘終結へ向けた協議の再開期待が浮上し、WTIは7.5%安だった。トランプ米大統領が、24日午後に米軍が提出した新たな攻撃計画の承認を見送り、イラン側も湾岸諸国などにある米軍拠点への報復を見合わせた。

 米・イランの攻撃停止が続く中で、28日はWTIが4.1%安と続落した。前日にトランプ大統領がイランと良い対話を行っていると述べ、この日、オマーンがホルムズ海峡を地域共同の枠組みで管理する案をイランに提示し、イランのアラグチ外相が前日にオマーンとサウジアラビアの外相と相次いで電話会談したと報じられた。

 中東で再び攻撃の応酬があった29日、WTIは6.6%高と反発した。前日にイエメンの親イラン武装勢力フーシ派が紅海でサウジアラビアの石油タンカーを攻撃した。また、イラン革命防衛隊がヨルダンの米軍基地を弾道ミサイルで攻撃し、米中央軍は全て迎撃したと発表した。

 一方、米国とサウジアラビアは、イラクでイランの支援を受ける武装勢力を空爆した。EIA(米エネルギー情報局)の週次石油統計で原油在庫が大幅減少となったことも強気材料だった。

 次ページでは、8月以降の原油相場を検証しつつ、先行きについて予測する。