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事業承継の一手段として「家族信託」の普及が進んでいる。だが、家族信託には見落とされがちなリスクが多く、評判だけをうのみにして安易に導入すると、取り返しのつかないトラブルに発展することも。連載『富裕層必見!資産防衛&節税術』の第40回では、家族信託で陥りがちなリスクと、予期せぬトラブルを防ぐための実務上のポイントを解説する。(岩崎総合法律事務所代表弁護士・シニアプライベートバンカー 岩崎隼人)
オーダーメードの設計が
「家族信託」の強みだが…
「家族信託」のリスクを理解するには、まずその仕組みを理解する必要がある。
「信託」とは、自身の重要な財産を信頼の置ける人物に託し、あらかじめ定めた特定の目的に沿って管理や運用をしてもらう仕組みである。この制度は主に以下の三者によって成り立っている。
〈1〉委託者:財産を提供し、信託を設定する者
〈2〉受託者:託された財産を預かり、目的に従って運用・管理・処分する者
〈3〉受益者:信託財産から生じる利益を受ける権利(受益権)を持つ者
〈2〉受託者:託された財産を預かり、目的に従って運用・管理・処分する者
〈3〉受益者:信託財産から生じる利益を受ける権利(受益権)を持つ者
そして、信託銀行や信託会社などに委託する仕組みを「商事信託」、親族などに委託する仕組みを「家族信託」と呼ぶ。
例えば事業承継への活用例としては、創業者(委託者兼当初受益者)が所有する自社株を受託者である後継者(長男)に移転するケースが挙げられる。この設計により、後継者は議決権を行使して経営者としての経験を積みつつ、配当金などの経済的利益は創業者が受け取る形をつくることができる。さらに「指図権」を設定することで、創業者が受託者に対して一定の助言・指示を行えるようにしておけば、段階的な経営権の移行も可能となる。このように、オーダーメードの設計ができることこそが、信託の強みである。
その一方で、信託には予期せぬ“落とし穴”も多く、最悪の場合、財産そのものを散逸しかねない。次ページでは、さまざまな信託のリスクのうち、「信託が強制的に終了」されるリスクと、「信託財産が散逸(使い込みや浪費)」されるリスクを取り上げて、それぞれ見る。







