そのため、部品メーカーは日産自動車に勝るとも劣らないほど売れるクルマの開発に関心を抱いている。それぞれの専門領域で最新技術はもちろん、豊富な知見も備えている。おまけに、クルマ好きの人材が多い上に、日産車の顧客という視点まで併せ持っている。

 そこで、そうした価値あるリソースを生かすために、日産自動車が部品メーカーを巻き込み、彼ら彼女らの意見を積極的に取り入れながら、新型車の製品企画を進めてはどうかという提案である。

 新型車の製品企画から参加できれば、部品メーカーは自分たちの意見を聞き入れられる機会を得るため、モチベーションが高まる。販売計画に対する責任も感じられるため、これまで以上に懸命に知恵を絞るようにもなるだろう。

 ただし、このプロジェクトでは「売れる」ことが絶対条件だ。日産自動車が経営危機を打開し、部品メーカーからの信頼を勝ち取るためにも、期待外れの販売台数に終わらせるわけにはいかない。そこで、他社の「売れ筋の量販車」に照準を合わせ、それを上回る付加価値を備えた新型車の開発を目指すことを提案したい。

 具体的には、世界一売れる乗用車であるトヨタ自動車の多目的スポーツ車(SUV)「RAV4」、あるいは「カローラ」や「カムリ」といった安定した人気を誇る量販車を俎上(そじょう)に載せ、人気の理由を日産自動車が部品メーカーと共に徹底的に究明する。そして、顧客が特に魅力を感じている点に絞り込み、新たな部品やシステムを開発して、競合車を上回る価値を備えたクルマを開発するという試みに挑むのである。

 ただし、既存のクルマのモデルチェンジでは物足りない。話題性も踏まえて新たなブランドの新型車の開発を目指すのが望ましい。

 日産自動車と部品メーカーがタッグを組み、知恵を絞り合って競合車を超える製品企画を行えば、ヒット車種になる確率は飛躍的に高まるはずだ

 価格の安さを求めて部品メーカーを使い捨てる発想はやめ、仲間としてもっと積極的に力を頼り、共創によってクルマの競争力を高めていく。こうした逆転の発想のクルマづくりを具現化するためにも、日産自動車は部品メーカーとの間に良好な連携関係を築くことの重要性を改めて認識すべきだ。