何をやるかは伝えているのに、部下が深く考えずに動いてしまう。その原因が、指示に「目的」が添えられていないことにある場合は多い。

作業と目的は、セットで伝える必要がある
指示を出すとき、多くの上司が伝えるのは「何をするか」という作業の内容だ。
期限と作業の内容がそろっていれば、指示として完成しているように感じてしまう。
しかし、作業だけを伝えられた部下は、
その作業がなぜ必要で、何につながるのかを知らないまま動くことになる。
目的を知らずに動く部下は、機械的に作業をこなすだけになりやすい。
工夫が生まれず、気づきも生まれず、
予想外の状況に直面したときに自分で判断できなくなる。
「言われた通りにやった」という結果だけが残り、
そこに思考の跡はない。
目的を添えると、部下の動きが変わる
作業そのものではなく、「その作業が最終的にどうなるか(目的)」を伝えていたのです。
【ケース1:会議の議事録・リスト作成】
×作業だけの指示:「今日の会議の発言をエクセルに一覧化して、明日の18時までに送って」
→部下は「文字起こしか、面倒だな」と思いながら、ただ機械的に入力します。
○目的を添えた指示:「今回のクライアントへの提案における『最優先課題』を特定したい。だから、今日の会議の発言を一覧化してほしい。君のリストが、提案書の骨子になるんだ」
→部下は「重要な提案の一部を担っている」と認識し、「課題になりそうな発言は太字にしておこう」といった工夫(思考)が生まれます。
【ケース2:郵便物の投函】
×作業だけの指示:「この未集金の案内通知、今日の17時までに出しておいて」
→部下は「郵便出しか、雑用だな」と思います。
○目的を添えた指示:「経理側でお客様のステータスを変更し、入金漏れを防ぐフローを回したい。お客様から電話が来たときに『通知済み』前提で案内できるようにしたいから、17時までに出してほしい」
→部下は「これが遅れると経理やコールセンターが困るんだな」と理解し、確実に遂行します。
会議の発言をエクセルに一覧化するという作業を例に考えてみる。
「一覧化して送って」という指示を受けた部下は、文字起こしの作業として受け取り、
機械的に入力するだけになりやすい。
しかし「クライアントへの提案における最優先課題を特定したい。
だから一覧化してほしい。君のリストが提案書の骨子になる」と伝えると、
部下は重要な提案の一部を担っているという認識を持つ。
そこから「課題になりそうな発言は太字にしておこう」といった工夫が自然と生まれる。
同じ作業でも、目的を知っているかどうかで、動きの質がまったく変わる。
郵便物の投函という、一見単純な雑用も同様だ。
「17時までに出しておいて」だけでは、重要度が伝わらない。
しかし「経理側でステータスを変更し、入金漏れを防ぐフローを回したい。
通知済み前提でお客様対応できるようにしたいから17時までに出してほしい」と伝えると、
部下は「遅れると経理やコールセンターが困る」という全体像を理解し、
確実に遂行しようとする意識が変わる。
どんなに些細な作業でも、目的をセットにする
目的を伝えることは、時間がかかるように感じるかもしれない。
しかし、目的を知らない部下が動いた結果、
方向性のずれた成果物が上がってきて修正が必要になる方が、
はるかに多くの時間を消費することになる。
どんなに些細な作業でも、その作業が最終的に何につながるかを一言添えること――
それだけで、部下は作業者ではなく、プロセスの一端を担う存在として動き始める。
指示の量は変わらなくても、伝える内容を少し広げるだけで、
部下が考えながら動くかどうかが大きく変わっていく。
次に部下に指示を出すとき、作業の内容に「なぜこれが必要か」を一言添えることだけでいい。
(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)



