では、下がったぶんは損なのかというと、そうではありません。挑戦によって得られる新しいスキルは、いわば「見えない給与」です。見えない給与を受け取り、すなわち新たなスキルを身につけ、これまでのスキルとかけ合わせていけばより大きな成果が出せるようになり、給与も上がっていきます。

 伸びていく人の年収カーブの多くは、上下動をジグザグ繰り返しながら長期的に上がっていく「のこぎり型」を描きます。

 ガクッと落ちたように見えるのは新たなスキルや知見を身につけているときです。次にそれを武器にグッと上げていく。そしてまた次の挑戦のために、あえて年収を落として新しい世界へ飛び込む。その結果、のこぎり型のカーブとなるのです。実際、年収1500万円以上の人は、こうしたパターンを繰り返している人が多いと感じます。

 ここで肝心なのは「一度下がった後に上がるかどうか」です。上がらなければ意味がない。そこで問われるのは、どの新しい世界に飛び込むかの「目利き」です。

 これから伸びる成長業種、あるいは希少性の高い職種に着目できるかどうか。そういう人は給与が伸びていきますが、そこの目利きを誤ると、せっかく下げてチャレンジしても、上がり目がないかもしれません。

 たとえば10年ほど前、「これからはHR事業だ、人材系が伸びる」と世の中が言い始めた時期がありましたが、実はもうピークを過ぎていました。世間がワーワー騒いでいる時点で、すでに旬を過ぎていることもよくあるので注意が必要です。

スキルを身につけずに
転職を繰り返してはいけない

 もう一つ気をつけたいのが「波乗りジョブホッパー」にならないことです。

 今の場所できちんとスキルや経験を身につけないうちに、「お、次はこっちに波が来た」と目移りして移ってしまう。これを繰り返すと、波に乗っているつもりが結局、なにも身につかないままで終わってしまいます。

 そうならないためには、どういう心構えで臨むべきか。ここまでの話と矛盾するようですが、転職するからには「もう転職なんてしない」くらいのつもりで行くべきです。とくにスタートアップならその会社の経営者に惚れ込み、心中するくらいの覚悟が必要です。