「瞑想で仕事の成果が上がると言われても、いまひとつ信じられない」――その原因は、マインドフルネスをリラクゼーションだと捉えていることにあるのかもしれない。睡眠、集中力、ストレス、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネスを日本で最も広めたベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その内容に最新研究と音源を加えた『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』が刊行された。本書には、世界の名だたる企業がマインドフルネスを導入する理由も書かれている。今回は、米国で30年以上診療を続ける現役の医師、著者の久賀谷亮氏のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)
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名だたる企業がこぞって導入する理由
――「瞑想で仕事の成果が上がる」と聞いても、なかなか信じられない人も多いと思います。世界のエリートたちはなぜ真剣にマインドフルネスに取り組むのでしょうか。
久賀谷亮氏(以下、久賀谷):アップル創業者のスティーブ・ジョブズが瞑想の実践者だったことは有名ですが、グーグルやメタ、シスコといった巨大企業も、社内研修としてマインドフルネスのプログラムを組み込んでいます。彼らは営利企業ですから、本当に効果があると実感しているからこそ続けているわけです。マインドフルネスは、アメリカではしばらく前に爆発的に流行し、いまでは当たり前のものとなっています。その根底にあるのは、「脳の休息」の大切さへの気づきです。マインドフルネスこそが最高の休息法であることを、彼らはいち早く知っていたのです。
――実利を重視するビジネスパーソンが納得するだけの、科学的なエビデンスもあるのですね。
久賀谷:はい、脳科学的な根拠も次々と集まっています。マインドフルネスの効果は、精神面・身体面・組織面と、非常に幅広い領域に及んでいます。
集中力・感情・免疫機能まで変わる
――具体的にはどのような効果が実証されているのでしょうか。
久賀谷:まず「集中力のアップ」です。1つのことに注意を向け続けられるようになります。次に「感情調整力のアップ」。
怒りや不安といった極端な感情的反応が和らいでいきます。さらに、自分の思考を客観的に見る「メタ認知力のアップ」、そしてウイルス感染に対する耐性が高まる「免疫機能のアップ」まで報告されています。
――精神面だけでなく、身体的な免疫機能まで高まるのですね。
久賀谷:さらに、マインドフルネスは脳の「働き具合」を変えるだけでなく、「脳の構造そのもの」を変えてしまうことも分かっています。長年の瞑想実践者では老化による脳の萎縮が抑えられたり、記憶に関連する脳部位の密度が増大したりといった報告もあります。
組織全体のパフォーマンスを飛躍させる
――これらの効果が、組織としての成果にもつながるのでしょうか。
久賀谷:はい。全社でマインドフルネスを導入したアメリカの大手医療保険会社エトナでは、社員のストレスが3分の1になり、仕事効率が上昇しました。医療費が大幅に減少し、1人あたりの生産性が年間約3000ドルも高まったそうです。マインドフルネスは個人の休息にとどまらず、組織全体のパフォーマンスを飛躍させる技術として、世界中のエリートたちが当たり前に取り入れているのです。



