「ながら作業ばかりで、一日中なんとなく頭が疲れている」――その原因は、脳が「自動操縦モード」に慣れきっていることにあるのかもしれない。睡眠、集中力、ストレス、老化……など、幅広い有効性が認められているマインドフルネスを日本で最も広めたベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法』。その内容に最新研究と音源を加えた『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』が刊行された。本書には、歩きながら「いまここ」を取り戻す「ムーブメント瞑想」のやり方も書かれている。今回は、米国で30年以上診療を続ける現役の医師、著者の久賀谷亮氏のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)

【精神科医が解説】脳の疲れがスーッと取れる方法・ベスト1Photo: Adobe Stock

自動操縦モードが脳を疲弊させる

――スマホを見ながら食事をしたり、歩きながら仕事の段取りを考えたりと、私たちは日常的に「ながら作業」をしてしまいます。脳への影響はあるのでしょうか。

久賀谷亮氏(以下、久賀谷):現代はマルチタスクの時代ですからね。誰もが「ながら作業」をしていて、日常的な行為を無意識にこなす「自動操縦モード」に慣れきっています。この自動操縦状態のときほど、頭には雑念が浮かびやすく、結果として脳を疲弊させ、集中力や注意力を低下させてしまうんです。

そこで有効なのが「ムーブメント瞑想」です。

自分の身体の動きや、そこから生じる感覚に細かく注意を向けることで「いまここ」を取り戻します。

これはグーグルの社員研修プログラム「SIY(サーチ・インサイド・ユアセルフ)」でも取り入れられている方法です。

代表的な実践法「歩行瞑想」

――具体的にはどのように行うのでしょうか。

久賀谷:代表的なのは「歩行瞑想」です。

歩いているときに、自分の手や脚の筋肉・関節の動き、足の裏が地面と接触する感覚に注意を向けます。最初はできる限りゆっくりと、亀のようなスピードで歩いてみてください。

しばらくすると、脳はいつのまにか自動操縦モードに切り替わり、歩行以外のことに意識がさまよい始めると思います。

雑念に気づいたら、意識を身体の動きに戻します。

――歩く動作にそこまで集中したことはありませんでした。

久賀谷:足の動きに合わせて「右」「左」、あるいは「上げる」「下げる」というように、自分の行動に言葉でラベリングしていくのもおすすめです。言葉にすることで、より動作に意識が向きやすくなります。

日常のあらゆる動作に応用できる

――歩行以外にも応用できるのでしょうか。

久賀谷:はい、歩行だけでなく、服を着るとき、歯を磨くとき、ドアを開けるときなど、日常のあらゆる動きに応用できます。

たとえば「玄関のドアを開けるところからスタート」と決めておくと忘れにくく、習慣化しやすいですよ。自動操縦を解除し、目の前の行為に意識を固定する力を養うことで、仕事でも高い集中力を発揮できるようになります。