「物忘れが増え、新しいことを覚えるのが億劫になってきた」――その原因は、避けられない加齢ではなく、脳の使い方にあるのかもしれない。米国在住の精神科医・久賀谷亮氏の著書『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』には、瞑想が脳の老化を食い止める可能性についても書かれている。その一部をご紹介しよう。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)

【精神科医が解説】脳の老化を食い止める方法・ベスト1Photo: Adobe Stock

脳の老化は食い止められるのか

 年齢とともに物忘れが気になるようになった。新しいことを覚えるのが億劫になった。
 私たちは「脳の老化は年齢とともに進むものであり、どうにもならない」と思い込んでいる。しかし、最先端の脳科学は、その常識を覆しつつある。

瞑想が「流動性知能」を維持する

 米国で活躍する精神科医久賀谷亮氏の著書『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』では、マインドフルネスと「老い」の関係について言及しているページがある。

 ヨガや瞑想を継続した人は、年齢を重ねても流動性知能が維持されていたという研究があります。流動性知能とは、知識のような固定された知性ではなく、柔軟に思考する知的能力のことです。通常、ある年代を超えると、人間の流動性知能は低下することがわかっていますが、それが瞑想によって食い止められていたというわけです。――『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』p.170

 さらに驚くべきことに、瞑想が遺伝子レベルでの老化抑制に効果を持つというデータもある。瞑想経験のある人は、細胞の寿命に関わる長寿遺伝子テロメアの維持に貢献する酵素「テロメラーゼ」の活性が高くなっているというのだ。初心者がわずか6日間瞑想を実践しただけでもこの活性が高まったという報告もある。

認知症の予防にもつながる可能性

 また、「認知症」に関しても興味深い指摘があった。アルツハイマー型認知症の患者の脳を観察すると、脳のエネルギーを浪費するベースライン活動「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」の関連部位に、脳の疲労物質であるアミロイドβタンパク質が大量に集積しているという。つまり、長年にわたってDMNを過剰に使いすぎたことが、認知症の発症に関与している可能性があるのだ。
 マインドフルネスは、このDMNの過剰活動を鎮め、脳の疲労を和らげる効果がある。さらなる追試は必要とのことだが、マインドフルネスが認知症予防に一役買うことが期待されるのである。

「人生100年時代」を豊かに生き抜くためにも、身体の健康だけでなく「脳の健康」を保つマインドフルネスの習慣を身につけたい。