お金を使わなさすぎると
不景気になって返ってくる
日本がバブル崩壊以降長く苦しめられてきた、物価が継続的に下がっていくデフレは、消費者の節約によって深刻化してきました。
日本のケースでは、賃金が上がらない→消費者がお金を使わない(節約する)→需要が伸びず物価が上がらない(価格競争が起きやすくなる)→企業の収益が伸びない→賃金が上がらない、という悪循環の中でデフレが長く続きました。
バブルが崩壊した後、企業は正規雇用のベースアップ(ベア)を抑え、非正規雇用を増やし、人件費を抑制することで、労働分配率を下げていきました。この構造が続いたのが1990年代、2000年代、2010年代の、失われた30年といわれる時代です。
つまり、消費者がお金を使わなくなると景気が悪くなり、賃金が上がらずに、さらに節約を強いられるという循環が生まれてしまいます。こうした構造の中では、「節約=賢さ」という考え方には限界があるのではないでしょうか。
私たちが不必要に節約せずお金を使うべきときに使えば、景気が良くなり、賃金が上がって、私たちの手持ちのお金は増えます。個人の家計で考えれば「使ったら減る」のは事実ですが、社会全体で見れば、適切な消費が経済を回し、結果的に賃金の上昇をもたらすという側面があります。つまり、「節約一辺倒が必ずしも賢いとは限らない」といえるのです。
また、節約志向が過度になると、視野や行動が限定され、選択肢を狭めてしまうこともあるでしょう。たとえば、若い時期に海外旅行に誘われたら、たとえ手持ちの資金が十分でなかったとしても、思い切って行ってみることで、後々の人生に深みが加わることがあります。
もちろん、海外に行けば必ず視野が広がるとは限りませんが、感受性が豊かな時期に非日常の経験を積むことで何かしらの収穫が得られるはずです。
10年後に何かのきっかけで「そういえば、あのときインドでこんなことをしたな」と思い出すだけでも、意味があったといえるのではないでしょうか。つまり、「損をしない」ことを最優先する節約は、実は将来の自分の可能性を狭めているのかもしれません。







