ニデックPhoto:picture alliance/gettyimages

2026年、上場企業の決算をめぐり、監査法人が「意見も結論も表明しない」という、最も重い判断が相次いでいます。東京証券取引所がこの事態を投資家に注意喚起した企業は、6月までの半年で7社に上りました。

過去5年の通年平均は4社あまり。その平均を、わずか半年で上回ったのです。しかも、その理由は一つではありません。不正会計だけでなく、資金繰りや経営者の独断など、一見すると無関係に見える問題が、同じ「意見・結論不表明」という結末につながっています。

なぜ監査法人が「判断できない」と言う会社が増えているのでしょうか。その背景をたどると、決算を取り巻く環境の変化が見えてきます。(公認会計士 白井敬祐)

「あのニデックが」会計業界に衝撃
半年で7社、いま決算に何が起きているのか?

「あのニデックが、まさか」

 2025年9月、そんな驚きが会計業界を駆け巡りました。

 日本を代表する精密モーター大手のニデック(旧・日本電産)が、2025年3月期の有価証券報告書について、監査法人から「意見不表明」を受けたのです。

 意見不表明とは、監査法人が決算書に対し「適正かどうか、判断できない」と告げることです。長らく、意見不表明は管理体制の弱い小さな会社に出るもの、というのが業界の感覚でした。

 日経平均株価の構成銘柄にも名を連ねた大企業が、その対象になるとは多くの関係者が予想していませんでした。大企業だからといって、監査の評価が特別扱いされるわけではない――そんな現実を印象づける出来事でもありました。

 しかし、これは一社だけの出来事ではありませんでした。年が明けて2026年も、同じ判断を受ける上場企業が相次ぎます。

 東証が公表している一覧によれば、監査人が決算書に意見・結論を表明しなかった上場企業は、2021年から2025年までの5年間で、1年あたり2〜7社。平均すれば4社あまりでした。

 ところが2026年は、6月までの半年だけで、すでに7社。

 このうち2社は前年から続く案件で、残る5社が2026年に新たに加わりました。過去5年で最多だった2024年の通年7社に、わずか半年で並んだ計算です。

 もっとも、7社が同じ問題を抱えていたわけではありません。不正が原因の会社もあれば、資金繰りやガバナンス、収益認識が問題となった会社もあります。それでも監査法人は、いずれも「保証できない」という結論に至りました。

 いったい、決算の現場で何が起きているのでしょうか。