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ぜんそくは気管支に慢性的な炎症が生じ、ささいな刺激で呼吸困難や咳の発作に襲われる疾患だ。
治療法が飛躍的に進化した今でこそ、重篤な発作による国内の死亡者は年間1000人台に留まるが、治療法が確立していなかった1950年代には年間1万5000人以上が、炎症をコントロールする吸入ステロイドが普及し始めた90年代でもおよそ6000人が亡くなっていた。
ぜんそく発作は従来、寒暖差の刺激がある「季節の変わり目」に増えるとされていたが、この数年、夏の高温が新たなリスクとして注目されている。
米ジョンズ・ホプキンス大学の研究者らは、2016~22年の夏(6~8月)にメリーランド州ボルティモアにおいて、重度のぜんそく発作で救急外来を受診した成人819人、小児695人のデータを解析。患者の住所と高解像度の気象データを組み合わせ、夜間の暑さと重度のぜんそく発作との関連を調べた。
その結果、夜間の最低気温がその地域の過去30年間の参考値よりも異常に高く、2日以上熱帯夜が続く「熱波」に襲われた地域では、発作による救急外来受診が増加することが判明。
小児は熱波に襲われた後、ぜんそく発作リスクが28~38%上昇し、成人も26~40%の上昇が認められたのだ。ヒートアイランド現象が顕著な都市部では、さらにリスクが上昇する可能性も指摘されている。
日本の東京科学大学の研究者らも、2011~19年夏(6~9月)のぜんそく入院と一日の平均気温との関連を調査している。ここでも例年より極端な暑さ(例年の上位1%に該当する気温)にさらされた場合、ぜんそく入院が1.2倍に上昇。14歳以下では1.3倍になることが示された。研究者は、このまま気候変動が続いて気温が上昇するようであれば、今世紀末には暑さを原因とするぜんそく患者の入院が、2010年代の4倍以上になると警告している。
高温がぜんそく発作リスクになる背景には、熱帯夜のストレスによる負担が身体の防御反応を低下させることに加え、冷房による寒暖差の刺激、高温多湿でカビやダニといったアレルゲンが増殖しやすい環境の影響があると考えられる。ぜんそく持ちの方は、高温の日こそ吸入薬をきちんと使うなど、警戒を怠らないようにしたい。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)







