高血糖状態が、脳内の毛細血管に直接ダメージを与え、それがもとで局所に炎症が生じるとされます。脳の中で炎症が起きると、炎症性物質を処理しようとして「ミクログリア」という細胞が活動します。

 脳の掃除屋ともいわれるミクログリアですが、高血糖状態では過活動してしまい、まるでアレルギー反応のように自分の脳細胞を攻撃し、それによって脳細胞レベルでの慢性炎症が生じるとされます。

普通に生活するだけでも
脳は軽い炎症状態になる

 また、高血糖状態は、脳細胞を含むすべての細胞を傷付ける活性酸素を大量に発生させます。その結果、脳細胞に酸化ストレスが生じ、それも炎症の原因となります。

 2型糖尿病では、インスリンが十分に分泌されていても、その働きが弱くなってしまう(正常に機能しなくなる)「インスリン抵抗性」が生じ、それが脳の細胞に炎症を生じさせることも知られています。

 こうしたことからも、生活習慣を見直し、脳の慢性神経炎症を起こしにくくすることは、脳の疲労耐性を高め、疲れにくい脳をつくるために大切であると考えられます。

 脳の慢性神経炎症は病的に発生するだけでなく、普通に生活し、脳を使っているだけでもごく軽い炎症状態になります。

 もちろん、脳を使わずに生活することはできません。大切なのは、炎症をゼロにすることではなく、必要以上に増やさないことです。

「脳は使うだけでも少し炎症を起こす」ということを知っているだけでも、睡眠や運動、食事、デジタル機器との付き合い方など、日々の行動を見直すきっかけになるでしょう。そうした小さな積み重ねが、脳の疲労を防ぎ、疲労耐性を高めることにつながるのです。

 身体の炎症反応が脳を疲れさせる原因であり、脳の慢性神経炎症には精神的なストレスが関係します。

 ほどよいストレスは勉強や仕事をやり抜くうえでの良いモチベーションになりますが、それが長期間続くとなると話は別です。