ネット上では(1)の上限額引き上げについて、「引き上げの撤廃を!」といった声が多数上がり、負担がアップすることについてのネガティブコメントが目立つ。

 しかし、FPとして30年以上制度を見てきた立場からすると、高額な抗がん剤が多数開発されている現状から、上限額の引き上げはやむを得ないと考える。

これまでも数十年おきに引き上げや所得区分の細分化が繰り返されている。保険財政を悪化させないために、その時々で高額療養費の見直しを行うのは必要なことだ。

「多数回該当」の引き上げなしは
ありがたい軽減措置

(2)「多数回該当」の引き上げは行わない、というのは、上限額の引き上げに配慮した措置。「多数回該当」とは、直近12カ月以内に3回高額療養費に該当した場合、4回目以降の上限額が引き下げられる制度のこと。高額な医療費が長期間かかった際の軽減措置だ。

 先の「月収40万円」のケースだと、上限額は月4万4400円まで引き下がる。「多数回該当」の引き上げが行われないのは、地味な配慮で目立たないけれど、ありがたい。

 さらに知っておきたいのは、多くの健康保険組合では、「付加給付」を設けていること。健保組合によって異なるが、自己負担上限が月2万~5万円になることが多い。

 こうした「付加給付」がある健保組合・共済組合に加入している人は、今回の高額療養費の上限引き上げの影響は受けない。こうしたことはニュースにならないけれど、知っておきたい大切なことなのである。

 実は、医療費を支払う私たちが気をつけなくてはならないのは、(3)と(4)の2点なのだ。

来年8月からの所得区分の細分化で
自分の上限がわからなくなる納得のワケ

 現在の所得区分は、次の5段階だ。

ア.上位所得者
イ.上位所得者
ウ.一般所得者
エ.一般所得者
オ.住民税非課税

 27年8月実施の2回目の引き上げ時には、なんと13段階に細分化される。

 ア~エがそれぞれ3段階に区分され(これで12区分)、オ.住民税非課税を合わせると13区分。表を作ってみたものの、あまりに複雑で、かえって読者を混乱させそうなので今回は掲載を見送った。