私たちが「一生のうちにスマホを見る時間」は、平均で14年以上。
そんな衝撃的な事実に向き合い、「時間が溶けていく毎日」から抜け出す方法を示した話題の1冊が『脱スマホ術』です。
著者・戸田大介さんは、500万ダウンロード突破の国内No.1集中アプリの開発者。開発者だからこそ気付けるスマホの落とし穴と対策を解説します。

GoogleのCEOは子どもに「YouTubeを見るな」と言わない。代わりにどう言う?Photo: Adobe Stock

「見るな」で解決する問題じゃない

「子どもにYouTubeを見せたくない」

 そう思われる親御さんはかなり多くいらっしゃいます。

 ですが、「YouTubeを見るな」と言っても、子どもの行動は変わりません。
 少なくとも長期的には。

 それは、子どもの意志が弱いからではありません。

 YouTubeやスマホは、大人でも誘惑に抗えないようにできています。
 疲れているとき、退屈なとき、少し不安なとき。画面を開けば、すぐに気持ちよさそうな動画が出てくる。

 これに毎回、気合いで勝とうとするのは「ほぼ無理」と言っても決して大袈裟ではありません。

スマホを理解している人は、「見るな」と言わない

 そこで興味深いのは、GoogleのCEOであるスンダー・ピチャイ氏の家庭での工夫です。

 Business Insiderによると、ピチャイ氏はニューヨーク・タイムズのインタビューで、自宅のテレビについて「簡単には見られない場所にしている」と話しています。すぐに見られる状態にせず、見始めるための手間が必要になるようにしている、というのです。

 また、11歳の息子にはそもそも自分のスマホを持たせていないそうです。

 ここでポイントとなるのは、完全禁止ではないことです。

 テレビは見ていいけど、毎回面倒なステップを踏ませる。
 YouTubeは見ていいし、PCも使っていいけれど、小さい頃からスマホを与えて、手軽にスマホで見られる環境にはしない。

「絶対に見るな」と怒るのではなく、「見るまでを少し面倒にする」。

 これは、とても現実的な方法です。

 彼が変えているのは、「意識」でも「決意」でもなく、「環境」です。

「これでも見たいなら見ていいよ」

 スマホが手軽に見られてしまう環境。これは人が考えているより、はるかに大きなスマホ依存の原因です。

 重要なのは、「スマホを見てはいけない」といって子どもに「我慢」させることではありません。

「別にそこまで見なくてもいいのに、ついなんとなく見てしまう」という環境を、一つずつ潰していくことです。

 動画の自動再生機能をオフにする。
 スマホに「適切なレベルで」利用制限をかける。
 食事中はほかの部屋に置いておく。

 そういう環境を整えるだけで、スマホ時間は減っていきます。

 スマホ問題を解決するために必要なのは、根性論で耐えることではなく、ましてや見てしまう子どもを叱ることでもなく、子どもをスマホに釘付けにしてしまう原因を理解し、それを解消していく「環境づくり」です。

戸田大介(とだ・だいすけ)
山形県出身。新卒で電通アイソバー(現・電通デジタル)に入社。データアナリストとして勤務したのち、bondavi株式会社を創業。データと行動科学の知見をもとに、人の前向きな行動を引き出すアプリの開発に取りくむ。全アプリを広告なし・無償で提供し、ユーザー任意の寄付により運営している。『継続する技術』『集中』は国内有数のヒットとなり、累計ダウンロード数は1000万を超える。著書『脱スマホ術』『継続する技術』。