2026年度予算(補正後)における国債の利払い費

金融政策の正常化が進めば、ドーマー条件は不成立に、財政運営に対する市場の信認確保が不可欠

 長期金利が上昇する中で、政府の利払い費も急増している。2025年度の一般会計ベースの利払い費は9.4兆円と、前年度比19%増加した。26年度は13兆円に増加する見込みである。

 こうした中、政府が積極的な財政運営を続ける上で重要な前提となるのが「ドーマー条件」である。

 ドーマー条件とは、「政府債務残高対国内総生産(GDP)比」を安定させるために必要な名目経済成長率と長期金利(政府債務の実効金利)の関係を指す。成長率が金利を上回れば(ドーマー条件が成立すれば)、GDPの増分が利払い費の増加を上回るため、基礎的財政収支(プライマリーバランス)が一定の赤字でも、政府債務の対GDP比は安定する。

 わが国では、過去10年以上にわたってドーマー条件が成立していたため、大幅な財政赤字の下でも政府債務残高対GDP比の上昇は一定程度抑えられてきた。もっとも、こうした経済環境が今後も続くとは限らない。

 これまでは大規模な金融緩和が長期金利を抑制し、ドーマー条件の成立を支えてきた。だが、日本銀行が金融政策の正常化にかじを切り、足元の長期金利は経済成長率を上回る勢いで上昇している。

 わが国のように、高債務と低成長に直面する国では、ドーマー条件が成立しにくいとされており、このまま金融政策の正常化が進めば、ドーマー条件が満たされなくなる局面に入る可能性も否定できない。今後もインフレが定着し、金融政策の正常化が進むと見込まれる中で、政府は財政規律の向上を通じ、財政運営に対する市場関係者の信認を確保する必要がある。

 政府は7月21日に閣議決定した「骨太方針2026」で、「債務残高対GDP比の安定的低下」という財政運営の目標を示した。しかし、目指すべき水準や達成期限は示されておらず、以前の財政運営目標に比べ規律の明確さは後退した印象を受ける。

 市場の信認を確保するためにも、財政運営目標に達成の期限や水準を設けることで、財政健全化に向けた取り組み姿勢を示す必要がある。

(日本総合研究所調査部 副主任研究員 村瀬拓人)