GPIF買い支えや個人向け国債の新NISA対象示唆、高市政権の「口先介入」で円安・債券安を止められるかPhoto:SANKEI

円安163円台、10年国債金利3%に迫る
中東戦闘再開や財政悪化懸念

 米国・イランの停戦和平協議が事実上破綻し、攻撃や報復が連日繰り返されて、原油価格などの不透明感が再び強まる一方で、高市政権が閣議決定した「骨太方針2026」による財政拡大などへの懸念から、金融市場は荒れた展開が続く。

 7月24日の東京市場では、前日、米国でWTI原油先物価格が一時1バレル=93ドル台をつけたことを受けて、円相場は一時、1ドル=163円90銭と、約40年ぶりの円安水準になり、債券市場では、新発10年国債利回りが2,795%に上昇した。

 こうした「円安・債券安」に対して目立つのが、「政府介入」を示唆する高市政権の閣僚発言や野党の動きだ。

 10年国債金利が9日に一時、2.900%と約30年ぶりの水準となった翌10日には、片山さつき財務相が、「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)をはじめとする年金基金に、日本の金融資産にさらなる投資をしていただく後押しをする方策を追求したい」と語った。

 14日には、上野賢一郎厚生労働相もGPIFの基本ポートフォリオについて、「必要があれば見直しの検討を進める」と含みのある発言をし、片山財務相は、見直しを政府が介入したり強制したりすることはできないとしながらも、「毎年度、適時適切に検証し、必要があれば見直しの検討を進める原則に変わりはない」と、GPIFの判断によって見直しがなされる可能性があることを示唆した。

 一連の発言を受けて、金融市場では、政府がGPIFの基本ポートフォリオの見直しを示唆することで市場に口先介入している可能性、そして実際に、基本ポートフォリオが見直される可能性が意識されている。

 政府による市場介入観測は、新NISA(少額投資非課税制度)の投資対象の見直し議論でも生まれている。

 国民民主党が7月10日に、個人向け国債を新NISAの対象商品に追加する法案を参議院に提出したのに対して、片山財務相は、「やっぱりやっていくときじゃないか」と前向きの姿勢を見せた。

 この問題で片山財務相はそれ以前には、個人向け国債を対象に加えることには慎重姿勢を示していた。

 市場はこうした閣僚発言に、政府のなんらかの意図を感じつつ敏感に反応している。

 だが、市場をけん制する“口先だけの介入”ということなら、いまの「円安・債券安」を止めることができるかは疑問だ。