高市総理、お願いだから積極財政はやめて...国民生活に追い打ちをかける「インフレ」と「不況」の悪夢Photo:NurPhoto/gettyimages

長期金利の代表的な指標となる10年物国債の利回りが一時、2.8%に上昇した。約29年半ぶりの高い水準だ。今後、金利上昇をきっかけに世界的に株価が変調をきたし、景気が減速する恐れもある。それでも、高市首相は「責任ある積極財政」に固執するのだろうか?ホルムズ海峡の正常化が見込めない中、経済政策の運営スタンスに不安を感じざるを得ない。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

ホルムズ海峡開放の見込みはない…
金利が急上昇、日本経済の大リスクに

 昨年の春先以降、TACO=“Trump Always Chickens Out(トランプ大統領はいつもおじけづいて引く)”という言葉を見かけることが多くなった。ところが最近は、ナチョ=NACHO“Not A Chance Hormuz Opens(ホルムズ海峡開放の見込みはない)”という新しい言葉に出くわすことが増えた。

“ナチョ”の背景には、ホルムズ海峡の封鎖が長引き、世界経済のインフレ懸念が高まるとの悲観的な見方がある。トランプ大統領の形勢が明らかに不利になりつつあり、イランは強気のスタンスを崩していない。イランは海峡開放の条件として、米国側の海上封鎖解除や資産凍結解除、核交渉停止などを条件に掲げたようだ。

 トランプ氏の交渉のカードは限られており、イランの要求を簡単に受け入れてしまうと、米国内の支持率は下落することも懸念される。それでなくても、ガソリン価格の上昇で、トランプ氏が頼みとする中低所得層の支持率にも下落傾向が見られる。中間選挙を控えたトランプ氏は、さらなる支持率低下は避けたいはずだ。

 習近平国家主席との米中会談でも大きな成果を上げることができず、トランプ氏は窮地に追い込まれつつあるとみられる。

 世界経済にとっても、ホルムズ海峡の封鎖が続くのは大きな痛手だ。エネルギー資源やナフサなどの供給が減り、景気は減速し、インフレは高進するリスクが高まっている。特に、物価上昇は深刻な影響を与える。

 翻ってわが国の高市政策は、長期金利が急上昇する影響を過小評価しているようだ。このままでは、わが国経済にとって大きなリスクを抱えることになる。