特に40代は10.8%、50代は4.0%と非常に少なく、中年期に特有の「ミドルエイジ・クライシス(注2)」と呼ばれる不安や焦りの背後で、圧倒的にリフレクションが足りていないことが読み取れます。

 若手も同様です。20代の若手ビジネスパーソン1300名を対象にした調査でも、自分の「仕事の価値観」を明確に言語化できている人は13.3%とごくわずかです(注3)。

 近年、人材の流動性がますます高まり、転職が当たり前になっています。ところが、多くの人たちは「自分のキャリアについては、よく振り返っていない」「仕事の価値観については言語化できない」という結果が出ているのです。

変わりゆく自分を
定期的に言語化しておく

 つまり、「自分は何がやりたいのか?」「何を大切にして働きたいのか」がわかっていないまま、「この会社にずっといてはダメだ」「キャリアアップのためには転職したほうがいい」といった理由で転職しているということです。

 近年、面接で「なぜうちの会社を希望するのですか?」「うちの会社に入ったら何をやりたいですか?」と聞かれても、うまく言語化できないので、適当なことを答えてしまう人が増えているそうです。結果、前職と同じような業務が割り当てられる。それが採用現場の問題にもなっています。

 これはある意味、しかたないところもあります。ウイルスが蔓延したり、生成AIが仕事のあり方を変えたり、働き方のバリエーションが増えたり、外部環境が目まぐるしく変化しているからです。

 外部環境の変化が激しいと、人は自らの内側に向き合いにくくなります。外側の変化にふり落とされないことだけで手いっぱいになり、感情や欲望が鈍くなってしまうのです

 私はこれを、「1億総リフレクション不足時代」だと感じています。一生懸命、船を漕いでいるけれど、どこへ向かっているのかよくわかっていない。自分のことをよくわからないまま、変化の激しい時代をサバイブしている。いまはそんな時代です。

 だからこそ、「自分は何を大事にしているのか?」「自分はどういう欲望を持っているのか?」をしっかり言語化する。これを、日頃からストレッチのようにやっておく。それが、この激動の時代を乗りこなすための指針になります。

(注2)40代から50代の中年期に多くの人が経験する「中年の危機」と呼ばれる心理的・感情的な状態。人生の折り返し地点で「これでいいのか」という不安や後悔、将来への焦りを感じるもので、身体的・社会的な変化が重なることでアイデンティティが揺らぎやすくなる。

(注3)リ・カレント株式会社による「働くことへの若手意識調査(2021年4月実施)」