「病気」をいかに扱うか…朝ドラゆえの“思いやり”に変化が起きた?〈風、薫る第125回〉『風、薫る』第125回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第125回(2026年9月18日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)

シマケンの急変と「クリフハンガー」の是非

『風、薫る』第125回では、シマケン(佐野晶哉)の病状の悪化と、献身的に看護するりん(見上愛)の様子が描かれた。別れたときにお互い言えなかったことを、ついに言葉にするふたりの名場面について詳しく解説。また、病をドラマで描く場合、エンタメに必要な「クリフハンガー」として扱うことの是非も考えてみる。

 シマケンの容態が急変? りんは急に呼び出されて、シマケン宅へ向かう。

 吐き気と腹痛に苦しんでいた。

「昨日の夜から何も食べてなくて。教えてもらった通り、食事の回数を増やして、少しずつ食べられるようになったのに、急に」と文史朗(蒼井旬)。

「無理して食べなくても平気ですから」とりん。無理して食べたからってことなのか?

 以前から思っていたことだが、このドラマは病人の容態急変をクリフハンガー(続きが気になる展開)に使用しすぎではないだろうか。この時点で、看護がテーマではないことが薄々わかる。

 ここで視聴者が問われるのは、看護の黎明期を描くとされ、黎明期についてしっかり取材して描かれた原案もあるドラマに何を期待し、楽しみとするかである。病人が具合が悪くなって、どうなるの?と次回の展開に興味津々になるか、真面目に病気になった人にどう接するか、看護婦の業務を見たいか。さて、どっちだろう。

 筆者はこの10数年、朝ドラのスタッフに多く取材してきた。そのなかで「病院で朝、放送されることが多いので、描写には気を遣っている」という話をよく聞いた。リアルタイム視聴よりも配信で多くの人に届けることを目的としている昨今の朝ドラには、気遣いの度合いが変わってきたのかもしれない。視聴者はどう感じるだろう。