絵とじっくり向き合うのはむずかしい
─「17秒」を超える鑑賞体験

ところで、いまあなたは前のページの作品に何秒ぐらい目を向けていたでしょうか?

この絵についての説明を読もうと急ぐあまり、作品には数秒(あるいは、ほんの一瞬?)しか目を向けていなかったという人もいるのではないかと思います。

じつのところ、「美術館で1つの作品を見る一般的な時間は、たった17秒」という調査結果があります。
作品を鑑賞するためにわざわざ美術館に足を運ぶ人でも、これくらいあっさりとしか作品を見ないのだとすれば、さっと目をやっただけで読み進めていたという人がいても不思議ではありません(もちろん、「5分じっくり見ました」「気づいたら10分ほど眺めていました」という方がいれば、それはすばらしいと思います!)。

鑑賞時間の調査が物語るように、1つの作品をじっくり見続けるのは、容易なことではありません。
たとえ美術館で17秒よりも長く作品の前に佇んでいたとしても、実際には作品に添えられた解説文を読むのに時間がかかっているだけかもしれません。はたまた、いつのまにか心ここにあらずになり「このあとのランチは、どこに行こうかな……?」などと考えている人もいるでしょう。

そこで、時間をかけてじっくりと作品と向き合うための、とっておきの方法をご紹介しましょう。
『13歳からのアート思考』でも登場した「アウトプット鑑賞」というやり方です。
これは、作品を見て頭に浮かんだことを、紙に書き出したり、スマホにメモしたり、だれかと一緒に声に出して話したりと、なんらかの仕方でアウトプットしながら鑑賞する方法です。それによって、思考を整理したり広げたりしながら、時間をかけて対象に向き合うことができます。

本書では、このあとも全編にわたって「アウトプット鑑賞」のパートがありますので、教室の一員になったつもりで、あなたもチャレンジしてみてください。よりいっそう「感性の教室」をお楽しみいただけると思います。