1980年代の東芝に「AI時代」がようやく追い付いたと言える理由かつて東芝がフラッシュメモリを生産していた四日市工場 Photo:JIJI

キオクシアの快進撃はなぜ続く?
半導体メモリに注目が集まる背景

 フラッシュメモリメーカーのキオクシアが話題になっている。AI需要に支えられた好業績と言われるが、実はキオクシアの成功は、1980年代に東芝が考えた新しい半導体の開発思想がAI時代にフィットしていたからだとも言える。言わば、時代が東芝、そしてそれを受け継ぐキオクシアの思想に追い付いたということだ。

 AIは人の頭脳のように物事を考えるが、脳には物事を考え判断する機能と、様々な外部の情報を記憶し、判断の元にするために覚える機能の2つがある。ここ数年AI業界で有名になったNVIDIAは、考える機能を代替するGPUを開発する会社である。

 まずは、このGPUの性能が向上したことによりAIが実用化できたので、初期にこの会社に注目が集まったのは自然な話である。それと同様に、次は脳の記憶する機能を代替する半導体メモリを製造する会社に注目が集まっている。短期的に記憶するDRAMを開発製造するサムスン電子、SKハイニクスに加え、もう少し長期的に情報を記憶するフラッシュメモリを開発製造しているのがキオクシアだ。

 DRAMは韓国のサムスンやSKハイニクス、日本のエルピーダメモリを引き継いだ米国のマイクロン・テクノロジーなどが開発製造をしている。市場シェアで言えば、1位はサムスン、2位はSKハイニクス、3位はマイクロンとなっている。

 一方、NAND型フラッシュメモリでいうと、サムスンやSKハイニクスも開発製造しているが、SKハイニクスは2020年にインテルのフラッシュメモリ部門を買収したばかりであり、まだまだDRAM中心のビジネスとなっている。フラッシュメモリのシェアで言えば、1位がサムスン電子、2位がキオクシア、3位はキオクシアと共同生産をしているウエスタンデジタル、4位がSKハイニクスとなっている。

 一時記憶のDRAMについても、AI向けの高速メモリ技術であるHBMの技術が注目されている。HBMはGPUのすぐ隣に何層も重ねたDRAMの固まりで、GPUが計算する途中の情報を短期的に記憶するために使われている。HBMが高速で優秀なものでないとGPUは機能を発揮できない。その意味でDRAM、HBMの事業もAIにとって重要な役割を果たしていて、AI関連製品の需要増加に合わせてHBMの需要も増えている。

 このため、キオクシアもHBMを作るべきではないかとの議論もあるが、DRAMとフラッシュメモリの技術は根本的に異なる。キオクシアがHBMに参入するためには莫大な研究開発と設備に対する投資が必要であり、むしろキオクシアが得意とするフラッシュメモリに資源を集中させた方が戦略的に良いと考えられている。