キオクシア株売却で「2.5兆円大儲け」の米ファンドから日本企業が学ぶべきこと「2.5兆円大儲け」の米ファンドから日本企業が学ぶべきことは?(写真はイメージ) Photo:PIXTA

半導体大手キオクシアの株価が乱高下している。7月には米投資ファンドのベインキャピタルがキオクシア株を全て売却し、約2兆5000億円もの利益を得たと報じられた。これを「うまく売り抜けた」と言うのは簡単だ。むしろ、相変わらず動きの遅い日本企業がベインの手法から学べることとは何か。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

キオクシア株「2.5兆円売却」の衝撃

 米投資ファンドのベインキャピタルが、キオクシア株を全て売却し、約2兆5000億円もの利益を上げたと報じられた。プライベートエクイティファンドによる日本国内案件としては、過去最大のエグジットだと大きな話題になっている。

 この出来事を、「米投資ファンドが日本企業の売買で大もうけした」と語るのは簡単だ。一方で、これほど多額の利益を上げる手腕は、残念ながら日本企業ではほとんど見られない。

 キオクシアの2026年3月期の売上収益(売上高)は2兆3376億円(前年比37.0%増)、営業利益(Non-GAAPベース)は8762億円(前年比93.4%増)、純利益(同)は倍増した。急成長した背景には、AIブームもさることながら、ベインが行った収益管理体制の構築や、人材登用制度の刷新などの組織改革の効果があることは見逃せない。

 再建中の東芝からベインが半導体事業(旧東芝メモリ、現キオクシア)を買収したのは18年のこと(ベインの株式保有比率は55%程度)。その後の業績の推移から、変革の成果は明らかだ。18年3月期(東芝から独立直後)の売上高は1兆2294億円、営業利益は4568億円だった。

 20年3月期はコロナショックの影響で営業赤字に転落。23年3月期と24年3月期は、世界的な半導体市況の悪化から、再び営業赤字に転落。当時、キオクシアが存続することは難しいのではとの懸念が一気に広がった。

 しかし耐え抜き、24年12月18日、キオクシアは東証に上場した。その直後の25年3月期決算では、売上高が1兆7065億円、営業利益が4517億円と改善を示すことができた。

 そして26年3月期決算では、先に述べたように収益は急拡大。AI開発などに使うSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)需要が急増する波に乗った。

 キオクシアが東芝傘下のままでは、これほどの成長は見込めなかったはずだ。コロナショックや半導体市況が悪化した際、事業継続は難しかっただろう。

 東芝の経営に詳しい専門家のひとりは、「東芝になくて、ベインにあった要素は、経営の迅速な意思決定だ」と指摘する。一体どういうことか。そして、相変わらず動きの遅い日本企業がベインの手法から学べることとは何か。