参院選が自民党の大勝で終わり、安倍政権が長期安定政権となることが確実になりました。そんな中、安定政権で起きがちなことではあるのですが、参院選からまだそんなに時間が経っていないというのに、さっそく政府の官僚の側の緩みが目立ってきたように思えます。
失業率低下はアベノミクスの効果?
それを思わせることの1つは、今週発表された6月の失業率に関する説明の仕方です。完全失業率が3.9%と4年8ヵ月ぶりに3%台になったことについて、“アベノミクス効果で景気が回復し始めている”という趣旨の説明をしていますが、本当でしょうか。
というのは、確かに政府の説明のように全体の就業者数は前年同月比で増加しており、その意味では雇用が量的に改善したとは言えますが、前月比でみると就業者数は減少しています。量的にも十分改善しているとは少し言いにくい気がします。
それ以上に問題なのは、質的にはとても改善しているとは言えないことです。6月に前年同月比で雇用者数が大きく増加したのは医療・介護という賃金水準があまり高くない産業です。それに対して、賃金水準が高い製造業の雇用は大幅に減少しています。地方の大事な雇用創出源である建設業も大幅に減少しています。
さらに言えば、6月に全体の雇用者数が大きく増加した最大の要因は明らかに非正規雇用です。実際、農業以外の正規雇用は前月に比べて13万人減少(3745万人→3732万人)しているのに対して、非正規雇用である有期雇用は41万人増加(965万人→1006万人)しています。
要は、6月の雇用増の主な中身は賃金の安い仕事や非正規雇用の増加であり、その意味で雇用の質の改善はまだまだなのです。