景気減速、消費者は節約志向に
フードデリバリーの割引合戦も

 中国では今、「外売(ワイマイ)」と呼ばれるフードデリバリーのプラットフォーマーが割引合戦を繰り広げている。わが家もよく注文しているし、学生寮の前を通ると商品がたくさん置かれているのをよく目にする。

 一方で、企業・店舗間の過当競争を招くため、規制当局は過当競争の是正に取り組んでもいる。7月3日付の『人民日報』は、プラットフォーム間の競争が需要の喚起などの面で役割を果たしたことを認めた上で、次のように述べている。

「プラットフォーム内の事業者は、薄利または赤字、商品やサービスの質の低下につながる『内巻』競争に引き込まれている。プラットフォーム経済を『価格競争』から『品質・イノベーション競争』へと転換していくことは、その健全な発展を促す上で避けられない必然的要請だ」

 中国経済の発展を語る上で競争は重要だ。「良性競争(好ましい競争)」は企業や労働者のやる気を引き出し、経済活動を活性化させる。逆に、過度な値下げなど「悪性競争」は商品・サービスの質の低下を招くとされる。

 習近平政権の発足後、初めて中長期の経済・改革方針を決定した会議(第18期3中全会、2013年11月)では、「統一的・開放的で、秩序ある競争を行う市場システムを構築する」と打ち出された。それから10年以上が経過し、内需が以前より振るわず値下げ競争に陥りやすい近年、「秩序ある競争」がより重要視されている。

 中国経済は減速傾向にあり、消費者は節約志向になっている。普段は安いもので済ませ、ここぞという時にのみお金を買うようになった。筆者の教え子たちも週末は、やや高めのミルクティーを注文したり、外食したりするという。コーヒーショップ各社が多様な商品を生み出すのは、価格を抑えたり、少しでも来客数を伸ばしたりしたい意向があるのだろう。

 日本ではよく中国のEV(電気自動車)過当競争が報じられているが、もっと身近なコーヒーでも、価格やメニューの多様化で競争が激しくなっている。消費者にとっては、財布に優しい商品の選択肢が増えることは歓迎したい。