「考える力」は
自分らしい人生を実現するためのツール

 クリティカルシンキングは1980年以降、アメリカの教育改革の柱として教育現場に普及していきました。テストのための知識の詰め込みでは、社会で要求されるスキルは身に付かない。そのような風潮の広がりに伴い、学校教育の重点が「記憶」から「考える力」へシフトしていきました。

 以降アメリカの学校から、先生が一方的に講義する授業スタイルは姿を消していきました。代わって登場したのが、生徒に考えさせ、活発に議論させる「アクティブラーニング」です。

 先生の仕事は議論の進行役であり「つっこみ役」です。生徒の発言に対して「根拠は?」「情報源は?」「なぜそう思うのか?」「偏っていないか?」「人の意見ではないか?」と次々に問いかけます。

「問い」に答えていくプロセスで、生徒は自分の思考の偏りや思い込みに気づくことができます。また一つの問題に対してさまざまな意見を聞くことで、同じ文化や言葉を共有していても「人間は一人ひとりが異なる考えを持つ存在だ」「自分は自分でいいのだ」という「多様性」を実感できるのです。

 クリティカルシンキングで起こりがちなミスが「批判的になり過ぎること」です。「絶対にだまされないぞ!」「矛盾を見つけるぞ!」と、批判や否定を前提に他者の意見や情報に接していると、結果としてすべてを拒絶してしまい、自分にとって大切な情報を見落とすことになります。

「クリティカル=批判的」という言葉にはどうしてもネガティブな雰囲気が付きまといますが、その本質は「自分のために」良い結論を導き出すツールです。自分で考え、決断し、行動する習慣を持つことは、自らの意思で自分の進路、キャリア、人間関係を構築していくことであり、その延長線上に「自分らしい生き方」があるのです。

クリティカルシンキングを教え方
家庭で行う5つの方法

 家庭で子どもにクリティカルシンキングを教える5つの方法を紹介しましょう。共通するポイントは、「質問力」です。

 親子の雑談の中に「問い」を増やして、子どもに考えるきっかけを与える。親がこれを意識すると、子どもは考える習慣を身に付けていきます。最初は質問する親の側にも練習が必要です。しつこく質問(尋問)を繰り返していると子どもが逃げていきますので、あせらずに、少しずつ実践していきましょう。